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冬はともだち

エネルギーと暮らし

凰建設の森です。

北国から帰ってきましたが
引き続き地域の集まりで
岐阜の外に出ております。

地元はマンボウですが、
行き先がまだマンボウが
出ていないため、出張が
中止にならず、、、

昨日の家具のお話。
感想に、岐阜にも
いい家具メーカーが
ありますよといただきました。

もちろん存じあげております。
自宅で使っている椅子は
日進木工さんという
高山の家具になります。

地域の物を使う。
顔が見える人の商品を使う。
それが地域の豊かさを作ります。

でも、旭川家具、良かったなぁ。
と思ってしまった訳ですね。
浮気者でごめんなさい。

さて、本日の話題は、
本州の人からしたら
あまり馴染みのないであろう
北国の冬の暮らしの話。

秘密のケンミンショーなどで
北海道の人は冬に半袖で
アイスを食べるみたいな
話を聞いて驚いた、
などという話もよく聞きます。

北海道の人は、と
言いましたが、実は
北海道の人というのは
厳密にはあまりいなくて、
北海道にいる人の殆どは
本州から入植された方の
子孫になります。

北海道の住宅といえば
チセなどが有名ですが、
それがベースになって
今の家があるわけではなく、
明治に入植された方が
それぞれの地域の家を
建てたというのが、
北海道の暮らしの始まり。

だからその当時は北海道に
九州の家や関東の家などが
それぞれ建っていた訳です。

しかし、やはり寒さのレベルが
全然違うため、その家の
作り方では通用しない。

こりゃ日本の技術では
太刀打ちできないぞと
いうことで、世界に答えを
求めます。

注目したのは、面材で家を
ぐるっと囲んで隙間を無くす
バルーン工法。今で言えば
2×4工法ですね。

時計台を始め、今でも
北海道には古い2×4の
建てものが沢山残っています。

しかし、やはりそれでも寒い
床下にもみ殻を詰めてみたり
暖かく過ごす工夫が
続けられてきました。

同時に、積雪対策も課題。
北海道は、特に札幌は
200万人クラスの都市としては
世界一の積雪量。

こんなに雪深い地域にこんなに
沢山の人が住んでいるのは、
世界でもここだけ。

屋根からの落雪、交通網、
あらゆるところに影響する
雪との戦いが今でも続く。

そうして独自の住宅文化が
発展をしてきました。

ターニングポイントとしては、
1960年台の終わり頃。

1972年に開催を控えた
札幌オリンピックの為に
選手村や交通インフラなどの
整備が進んでいました。

選手村として当時導入を
予定していたのが、従来の
灯油式FFストーブなど。

ところが、外国の選手団から
オリンピックという世界一の
大会の宿舎に、質の悪い
暖房が入っているのは
いかがなものか。

喉の調子を悪くしたりして
ベストパフォーマンスが
出なかったら責任を取れるのか。

という批判が相次ぎます。

「風が出る暖房」は
粗悪なものとして
認識されていた訳ですね。

慌てた大会委員会は、急遽
選手村の暖房設備を、
温水式のパネルヒーターに
入れ替えることにしました。

やってみてびっくり。

適切に配置された、
パネルヒーターのお部屋は
冬の寒さや乾燥感を
全く感じさせません。

イメージとしては、
初めて高級ティッシュで
鼻をかんでみた時や
初めて股引きを履いた時。

今までと全然違うじゃない。
なんで今までこれを
使ってこなかったの??

みたいな体験、ありますよね。
それが起きたわけです。

ということで、爆発的に広がり
北海道では暖房といえば、
パネルヒーターがメイン。

北海道の家と本州の家の
暖かさの質の違いは、
まずはこの暖房機器の差。

どんな低断熱の家だって、
全く関係なく家の中を
春の陽気にしてくれます。

次のターニングポイントは
1980年台になります。

二度のオイルショックを経て
省エネのニーズが高まります。

それまで1日に10Lも20Lも
使っていた灯油の値段が上がり
経済的に苦しくなりました。

灯油の値段は変わらないので、
使う量を減らしましょう
ということに。

使う量を減らすためには、
家の断熱性を高めるのがいい。

それまで申し訳程度に
入れていた断熱材を、
家中の隙間という隙間に
ぎっしり詰め込んでみよう。

なるほど、暖かさを維持する
コストがガクッと減った。

これは調子がいいので、
どんどんやりましょう。

となったのですが、ここで
大きな落とし穴が。

断熱には気密と防湿が
必ずセットで必要です。

しかし、当時はまだその常識が
現場の職人さんまでは
伝わりきっていませんでした。

そして起きたのが、
ナミダダケ事件。

新築の家が数年で腐る。
断熱は欠陥のある技術なのでは?

という疑心暗鬼の時代が
北海道にもありました。

そこで腐って終わらず、
みんなの知恵を出し合って
断熱しても腐らない方法を
調べたり考えたり。

そうして今の北海道がある。

本州の一般的な考え方だと
冬に暖かい空間は贅沢品。

寒さを我慢する方が美徳。

北海道や他の国ですと。
家が暖かいのは前提条件。

そこの違いは大きいです。

暖かさを維持したまま如何に
省エネ性や快適性を上げるか。
そこが焦点であって、
暖かい生活をすべきかどうか
という議論はあまりない。

もちろん、温かさを前提に
すると、エネルギーの
消費量は増える。

無断熱で微暖房の生活より、
UA値0.46で全館暖房の
生活の方が遥かに増エネ。

ただし、低温での生活を
許容すると、冬季に
死者が増加する割合が増える。

人の健康と省エネルギーの
落とし所を探すならおそらく
それなりに高断熱にしておき、
室温18℃を下限の目安にして
過ごすのが1番いい。

それなりの高断熱がどの
レベルになるかについては、
エネルギーだけのことを
考えるのであれば、
上げられるだけ上げるべき。

しかし、そこにはコストの
問題がついて回ります。

高価な品物でも普及率が
上がれば上がるほど価格が
下がっていきます。

ちょうどいい断熱のレベルは
今後どんどん上がっていくはず。

話が逸れました。

北海道はそうして、
暖かいのが当たり前の生活と
それをなるべく省エネに実現する
断熱技術が普及してきました。

本州の方を北海道の普通の家に
案内すると、一様に、
その温かさの質の違いに
驚かれます。

家の中が暖かいと、いくら外が
寒かろうが苦にはなりません。

むしろもっと寒くなれと、
わくわくしてきます。

(生活をするのではなく、
観光のために訪れた本州の人が
雪かきや雪下ろしの経験をせず
北海道の冬を楽しむと、
そういう感想になるということです)

本州で高断熱な家に住む人も
同じ感覚があるかと思います。

いつでも暖かい家に帰れるなら
外は思いっきり冷えてくれた方が
冬を感じられて楽しい。

30年も前に北海道大学の荒谷先生は
「冬はともだち」という表現で
そういう暮らしがもたらす
人間の心の変化を言い表されました。

冬になるたび、自分の家と
冬の寒さが好きになれるのが
暖かい家の暮らしになります。

食べたことがない料理の味を
想像できないのと同じように、
住んだ事の無い家の環境を
想像することもできない。

だからなかなか伝わらないけど
住んでみれば分かるんですね。

ぜひ、一年で1番気温の低い、
今の時期を楽しめるような、
家を作ってくださいませ。

最後に一つお知らせ。
薪ストーブのある高性能な家、
ルームツアー動画が公開。
↓ ↓
%url10%{https://youtu.be/XvBwNXlw5NI}

オフレコショットもあります。
19時配信開始。
もし良ければどうぞ。

#未来コストを考える #電気を使い過ぎない暮らし

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー