QUESTION Q&A

よくある質問
- エアコンの一番おすすめのメーカーと機種を教えてください。
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毎年色んなメーカーの商品を比較しますが、なかなか難しいですね。というのも、エアコンは「何が最高かよりも何が最適か」だからです。家一軒一軒、最適なものが違いますのでここ最近の引き渡しでも機種は殆どバラバラです。
- 小屋裏エアコンから二階の居室へ冷気を送り込むための設備、設計はどのような点を意識していますか?
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エアコンから出てくる風量をどの部屋にどれだけ配るかという事がポイントです。配る方法は、換気扇を回すか、冷気の自由落下に任せるかのどちらかです。また、どちらにしても、冷気を配るだけではなく、その元になる空気をどこから持ってくるかも大事です。それも、吹き抜けなどを通して供給するか、ダクトを縦に配管して供給するかになります。
後は、配管をする場合は、それなりの風量になりますので、ファンの音の問題が出てきます。最後に、基本的な事になりますが、空気の熱容量と送風量の計算をしっかりせねば失敗します。
- 以前、分電盤から屋外に配線を行うことができるような予備スリーブ穴をあけて引き渡しされるとのことでしたがそれは気密性が高い物でしょうか?私の家も同じ仕様にしたいので、品名品番を教えて頂きたいです。
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普通のエアコン用のスリーブになります。
型番までは指定しておりませんでしたが、内外が軽くネジになっており、使わない時は気密が保たれている製品になります。
建築会社に言っていただければわかると思います。
- エアコンのグレードについて、高価格帯と低価格帯ではCOPが2~3異なります。生涯コストで考えると、どちらの方が良いのでしょうか?
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それぞれの設計士さんの思想によるかと思いますが、私の場合は、更新が必要なものに高価なものはなるべく使わず済む様にしたいという思いから、極力グレードの低いエアコンで済む様に各種の設計を行っております。
家の性能がアンバランスであるほど高性能なエアコンが必要になり、家の性能のバランスが良いほど、低機能なエアコンで済む様になります。
COPは定格域では2~3違ってきますが、低負荷域、高負荷域であればそんなに差がつかないものの方が多いです。
高価格帯なエアコンが将来的に元が取れるかというと、ちょっと厳しいかなぁと思っております。
- エアコンによる除湿を突き詰めていくと、顕熱比はどのくらいまで下げられるのでしょうか?
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安いエアコンでも瞬間風速的に50%程度まではいけます。
ただ、絶えず50%で動いてくれるかというと、そうでもなく、新しいエアコンほど上手にサボろうとしますので、平均では70%とか80%とかになってしまいます。
うまく空調設計をすることで、少しずつ顕熱比を下げることができるようになります。
これまでにいただいた質問
- 冷房用のエアコンは1台にこだわっていますか?
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1台でも2台でも良いかと思いますが、間取りや夏の冷房負荷に合わせた設備設計が必要です。自転車の変速機を想像していただくのが良いかと思いますが、変速機なしの自転車よりも変速機があった方が、上り坂や下り坂など色んな負荷に対応しやすいです。また、1台のエアコンが壊れた時のリスク対策にもなりますので、今はあまり一台のエアコンにはこだわっておりません。1台の高級品よりも複数台の激安品の方が安かったりします。
- 全館冷暖房の場合、基礎断熱と床断熱ではどちらが省エネに生活できますか?
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全館冷暖房の場合は、もちろん床断熱の方が少ないエネルギーで生活できます。物理的に気積も表面積も多くなりますので同じというわけにはいきません。
だから、基礎断熱にするのであれば、床下空間が室内と同じ環境になるという特性を是非生かすべきです。何も生かさないのであれば、床断熱の方が良いです。
- エアコン冷媒管、ペアコイルの保温材厚みについての質問です。一般的には液管・気管両方とも8mmですが、高断熱タイプのもので気管が20mmのものがあるようです。メーカーの主目的は結露防止だと思いますが、エアコン運転上の効率アップにも繋がるのでしょうか?
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仰る通り、若干の効率アップにつながります。
こだわるのであれば、断熱の厚いものを採用されると良いかと思います。ざっと計算してみると、配管長さが6m、冷媒温度が0℃、外気温30℃の時に20mm被覆で24Wの熱損失、8mm被覆で41Wの熱損失です。冷房期間中2500時間運転したとすると34kWhの差が生まれます。COP3.0、電力料金30円/kWhでエアコンが動いた場合、ひと夏の電気代の差は425円になります。
- エアコンが止まる場合、霜取りの為に止まってしまうというのもあると思います。しかし、寒い時に働いて欲しいのに止まってしまうのは問題です。寒冷地向けのエアコンにすればいいのでしょうか?
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そうですね。霜取り運転はどうしても運転時間や外気温の要因で発生してしまいますので、それを嫌うのであれば寒冷地エアコンを選択されると良いかと思います。ただ、霜取り運転をしている時に何が嫌かというと、エアコンから冷風が出てきてそれが体に当たることになります。
エアコンの風が体に当たらないように設置することで、霜取り運転が起きても気にならないようにするというのも一つの解決方法になります。
高いエアコンを使うのではなく、まずは建築の工夫で済む方法を考えたいですね。
- 吹き抜けがない場合、エアコンによる各階での冷暖房計画で注意する点はありますか?
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結論だけ言いますと、それぞれの階で最も気積の大きな空間にエアコンを取り付ける事です。
家の中の冷気暖気の移動は、空気の持つエネルギー差×移動する空気の量によって決まります。
26℃60%の空気の中に11℃100%の空気が400㎥送り込まれたとき、場の空気エネルギーは約12.96MJ(3.6kWh)低下します。これが、エアコンがやっている冷房の仕事内容になります。
各部屋には換気の為の空気の循環がありますが、この循環量はエアコンの風量と比べ非常に小さいです。扉を閉めていると大体20㎥/h程度の空気しか動きません。この空気の流れに乗せて6畳用エアコン(2.2kW)の冷気を運ぼうと思うとほぼ絶対零度(-273.15℃)の温度の空気を送り込む必要があります。
部屋のドア(縦1.9m横0.6m)を開けておいた状態で廊下が22℃70%室内が26℃60%だったとすると、450Wの冷気を伴った空気移動が発生します。高断熱の家で、適切に日射遮蔽が行われていれば、一部屋を冷房するのに十分なエネルギー量になります。
エアコン冷暖房計画を突き詰めていくと、エネルギーをどのくらいの温度と風量に分けて目的の場所に届けるのかという話になります。