QUESTION Q&A

よくある質問
- 気密性能ですが、最低でもC値1.0がよいと言われる方が多いと思いますが、30年〜50年後でも同じ気密性能を保てるのでしょうか?もし三種換気などで気密性能が落ちてしまうと当初の換気計画通りにならなくなるかと思います。また、気密を落とさない工夫や落ちた場合の対処方法はありますか?
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気密性を落とさないためにはいくつかの方法が有効です。
まず耐震性能を上げる事です。家を固く作り、細かい地震ではびくともしないような構造にしておくことで、気密性能の低下は防ぐことが出来ます。
次に外張り断熱を併用する事です。構造材の収縮も気密性を落とす大きな要因ですが、外張り断熱の家の場合は温度変化による木材の収縮を大きく減らすことが出来ますので、気密性能の劣化は少ないです。
次に含水率の低い木材を使う事です。施工後に木材が痩せるのを防ぐことが出来ます。
最後に、細かい振動から有効な制振材を使う事です。大地震の時だけではなく、小さな地震から効果を発揮する制振材を使う事により、構造の変位を抑える事が出来ますので、結果として気密性能が落ちにくくなります。
気密性能が経年によりどの程度落ちるか、どんな原因で落ちるかという事は1990年には既に北海道工業大学の研究室にて実測された研究結果が論文発表されております。
上記の対策を全て講じた場合、気密性能の低下はほぼ発生しないと思っていただいて大丈夫です。
- 気密テープは地震で剥がれたり破れたりしないんでしょうか?
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構造が柔らかいと破れます。なので、耐震等級3の硬い構造と高気密高断熱はセットで必須なんです。
- かなりの虫嫌いなのですが、気密がいいとゴキブリなどの虫が入り込むこともほとんどないと考えてよいのでしょうか?
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家にある隙間の形状が該当する虫よりも小さければ物理的に虫は入ってきません。
玄関ドア下枠、引き違いサッシ、サッシの水抜き穴、エアコンのドレンホースが高気密住宅の代表的な侵入経路ですが、それに加えて田舎だと野菜をもらってきたときの段ボールも侵入経路として挙げられます。
- 新築で気密シートを施工して貰う予定なのですがエアコンの据付板を取り付ける時にせっかく丁寧に貼った気密シートに穴を空けてしまうことになってしまいそうです。対策とかあるのでしょうか?
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そういう事が起こらないようにするためにも、配線胴縁を施工しておくことをお勧めしております。
下地を気密シートの内側に取り付けてもらうというのがまさにそれです。
高気密高断熱のエアコンを理解している人に施工してもらえるように頼んでいただければと思います。
- YouTubeなどで床下点検口のカバーが浮いている動画があったりします。どのぐらいの気密性があれば、このような現象が起きるのでしょうか?
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内外圧力差が点検口の重さや止めつける力を上回ればそうなります。例えば40Pa(N/m2)の圧力差が生まれ、50cm×50cm(0.25m2)
の蓋を持ち上げようとしたとすると10N(約1kg)の浮力がかかることになります。
内外圧力差(Pa)×点検口面積(m2)×0.102(kgf/N)で浮力が算出されます。
浮力が蓋の重さの半分を超えれば、そういう現象が現れることもあるかもしれませんね。
建築のプロというよりも、普通に物理がわかる方であれば計算できるものかなと思います。
これまでにいただいた質問
- 「気密が良くても3種換気にしたら家中に穴があるから気密なんて意味ない」と言われたのですが、実際のところはどうなんでしょうか?
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その3種換気の穴がきちんと狙って開けられているのであれば、意味がないことはありません。
3種換気そのものが悪いのではなく、何も考えずに単純に「安いから」という理由だけで適当に付けてしまう3種換気が悪いのだと思います。
- 窓の種類によって気密性が違ってくるということを聞きます。引き違い窓と縦滑り窓横滑り窓ではどの位違うのでしょうか?1つの窓では違いはなくとも設置数が増えれば違ってくるのでしょうか?
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引き違いの掃き出し窓が1か所くらいまでなら、C値0.1を狙えますが、それ以上増えるに従い、やはり気密は落ちていきます。20か所の窓が全部引き違いになると、C値は0.5くらいになるようなイメージを持っております。
- 1〜2階の胴差しには気密シートを一部先張りしますが、基礎断熱時の土台に先張りシートを付けた現場を知りません。ネットでも見かけませんが、納まりの問題でウレタンが使いやすいからでしょうか?
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仰る通りで、ボード系の断熱を貼った方が扱いやすく効果が高いからだと思います。実際弊社も、気密シートを使う断熱仕様の現場の場合でも、土台周りはシートではなく、ボード系断熱材にて断熱気密防湿層を作ります。
ウレタン=ウレタン吹き付けだと表記されておられるなら、また話が別です。吹き付けウレタンは透湿抵抗の低い物が多く、厳密に言えばシートが必要になる商品も多いので、吹き付けウレタンでシートなしの土台周りの納まりは、ちょっとグレー要素が入ります。
- 気密部材の耐久性についてです。気密部材は性能劣化するのでしょうか?耐久性が半永久的というわけではないと思いますので、耐用年数が気になります。劣化に伴い補修・交換は出来るものなのでしょうか?
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当然劣化は進みます。
なので、気密部材もなるべく劣化から守ってあげる事が大事です。劣化の原因として大きいのが温度と紫外線と水分です。
温度変化がなく、紫外線が当たらず、水分に晒されない環境を作るために、一所懸命付加断熱や防湿をしたりするわけですね。また、劣化した後でも一定の性能を担保できるよう、最初の気密性能を出来るだけ上げておくというのも重要になってきます。
作り方や気密部材の選定でどの程度劣化するのかは本当にバラバラです。1990年代に北海道の大学がこうすればこの程度気密の劣化を止められるという研究をしておりますので、興味があれば調べてみてくださいませ。現時点では8割程度の答えが出ている感じです。
- 下屋、オーバーハング、両入隅サッシ、中間領域などは気密が取りづらくなるのは何故ですか?
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気密シートの施工に関係します。真四角な箱を工作で作るのと、でこぼこがいっぱいある箱を工作で作るのでは、明らかに難易度が違いますよね。隙間を埋める作業も沢山発生しますので、やはり気密は悪くなりやすいです。