よくある質問

耐久性の高いものと低いものを混ぜないというのは、建築のプロとしては当たり前のことなのでしょうか?それとも凰建設様が独自で取り組んでおられることなのでしょうか?

耐久性の高い物と低い物を混ぜないのは日本の家の9割以上が出来ていない事になります。どんな大手ハウスメーカーでも、断熱材、電気配線、水道配管、冷媒配管、換気ダクトなどがごちゃ混ぜに施工されている例は枚挙に暇がありません。折角丁寧に施工された断熱材が一生モノではなくなってしまうのが日本の殆どの家づくりにおいて起きている問題になります。とは言え、同じ問題意識を持って施工している工務店は数は少ないですが全国に沢山あります。決してすごく特殊で技術のいるものではありません。

配線の耐久性について質問です。配線の安全性を重視するとおおよそ何年後くらいに交換が必要になりますか?また、配線のメンテナンス性を考えた場合、どのような設計をすればいいでしょうか?

電線の直線部分でトラブルが起きる可能性はそこまで高くなく、どちらかというと結束部分です。
断熱材や配線をすべて交換する作業は、新築と同等の作業になり費用も建て替えよりちょっと安い程度の大規模なメンテナンスになってしまいますので、お勧めしておりません。
そのため、断熱材も電線もそのまま埋め殺して、室内にもう一層、配線層を作るというのが落としどころだと考えております。

メンテナンスを考えた際、貴社では屋根のルーフィングはどのような提案をされますか?またそれによるコスト増はどうなりますでしょうか?

基本的にゴムアスファルト系の物を勧めておりますが、これも屋根材との相性によって変わってきます。
ルーフィングそのものも大事ですが、合板の下に風を通す事も非常に大事で、色々な要素が複合されてきますので、建物の計画によるとしか言えません。
良い物を使えば当然コストは上がりますが、屋根材を一度葺き替えることに比べれば、全く大した金額ではありません。

壁内の結露、カビ対策について伺いたいです。冬は室内からの湿気を壁内に入れないようしっかり気密をとるのが基本だと思いますが、夏に関してはどうすればいいのでしょうか?夏は外の方が湿度が高いのでエアコンにより室内が冷やされた場合、壁内で一番室内に近い部分が結露してしまうのでないか心配しています。

夏型結露の心配ですね。心配されるお気持ちは大変理解できます。理論上、夏型結露は発生し得るものですから。

例えば、夕立が有ったりすると、コンビニの窓ガラスが曇ったりします。車の運転中、冷房をダッシュボードから吹き出す設定にすると、フロントガラスの外側が結露を起こします。
これが生活するうえで身近に起こる夏型結露ですね。

では、これが家の壁の中で起こりえるのかどうかという事について考えてみたいと思います。

夏の冷房時の室内温度が例えば26℃だとします。壁内で一番室内に近い側が、そのまま26℃になったと考えますと、その時の飽和水蒸気量は21.35g/kgです。この、21.35g/kgという水蒸気量になるタイミングは、一年でどのくらいあるのかという話ですが、2019年の岐阜県岐阜市の夏の実績ですと、8/16の午前10時から正午までの2時間だけ、この値を超えております。
夏は湿気が高いのは事実なのですが、住宅で常識の範囲内でエアコンの温度設定をして生活をしている限りでは、壁体内の夏型結露というのはそんなに発生しないというのが答えになります。

結露を起こすかどうかは、絶対湿度に対して露点温度を下回れば結露するという単純な物理の話です。

夏の結露でもっと心配なのは、明け方の放射冷却によっておこる自然結露です。草に朝露が付いたり、朝靄が発生したりというのもこの現象が手伝っております。
住宅で言えば、屋根の裏側などでこのような現象が起こる可能性があります。

これを防ぐためにはやっぱり家に断熱を施し、家中のあらゆる箇所がどんな季節でも露点温度以下にならないようにするというのが最も効果的な対策になります。

調湿気密シートを使ったりという対策もよくなされますが、そんなことよりも、真っ向から断熱に取り組むほうが先です。ヨーロッパ北米並みの断熱をして初めて、調湿気密シートを考え始めましょう。

可変調湿気密シートの長期耐久性ってどうなのでしょうか?そもそも、気密シート無しでも内部結露しない壁構成が必須のように思えるのですが。

こちらは、私も同様の問題意識は持っておりますが、現状では分からないというのが正直なところです。一般的に物質の劣化原因は、熱、水、紫外線になりますが、そのうちの熱と紫外線から守られているのが気密シートの施工位置になります。残りの、水による劣化がどの程度なのかは耐久性試験の結果からも分かりにくい商品が多く、ひょっとするとやはり30年に1度はめくらないとダメな物かもしれません。

これまでにいただいた質問

屋根材をガルバリウム鋼板にする場合、その下に貼るルーフィングは、耐久性とかを考えると何がオススメですか?

ガルバ下の屋根につきましては、最も大事になるのは、屋根を支える野地板の下に通気層が30mm以上確保されているかどうかになります。
野地板の下に通気層がしっかり確保されていれば、ゴムアスファルト系などの耐久性の高いルーフィングを施工するのが良いかと思います。通気層を確保せず、透湿ルーフィングなどでごまかす施工もありますが、湿気対策性能も防水性能も全てが中途半端になってしまいます。

ルーフィングという薄い膜だけで屋根の性能を未来永劫に担保するという考え方がそもそもおかしいです。長い目で見るとルーフィングも交換すべき時が来る材料になります。その時に、生活に大きな影響が出てしまったり、莫大なお金がかかるような施工にしておかないというのが最も大事ではないかと思います。

C値が0.2以下の高気密の状態で第3種換気により室内を負圧にした場合、冬の加湿した湿気は室内側に防湿シートが無くても、湿気は壁へ流れず排気によって排出され壁体内結露は起きないのでしょうか?湿度は高い方から低い方へ移動するという現象に勝り負圧の方が勝つのでしょうか?

残念ながら、換気の空気の流れ程度では湿気の移動は防ぐことは出来ません。防湿シートが無い場合は、各部材の透湿抵抗の値に応じて壁体内に湿気は流入していきます。

屋根の通気を二重垂木工法でとる場合、1層目のルーフィングはタイベックルーフライナーで、屋根材側の2層目のルーフィングはアスファルトルーフィング940でも問題ないと聞いたのですが、本当でしょうか?

弊社は1層目にタイベック(→透湿防水シート)、2層目の上に断熱吸音版を貼ったうえで改質(→改質アスファルトルーフィング)を使っておりますが、実はそれでも諸外国の仕様に比べるとまだまだ至らない構造です。
耐熱性の改善を謳ったのが改質アスファルトルーフィングではありますが、黒いガルバの熱を長年受け続けるとやはり劣化します。
家の耐久性は、ボトルネックから順番につぶしていくことが大事です。どこか1つだけ、永久に持つような素材を使っても、別の所にボトルネックがあれば、ネックの素材の耐久性になってしまうか、メンテの頻度が上がっていきます。
トータルバランスを見ることが大事です。

片流れや段違い屋根にする場合、雨漏りをしにくくするためには、どのようなことに注意して新築戸建を建てたら良いでしょうか?

軒をちゃんと出す事です。

壁体内結露は、断熱材の外側に透湿防水シート、室内側に防湿気密シートが適正に施工して有れば心配無いですか?

基本はそれなのですが、2020年以降は一部の地域でそれだけでは足りない事例がちらほら出てきてしまいました。
地球温暖化により、温度、絶対湿度が上昇していくと、防露設計のあり方が少しずつ変わっていきます。今の段階では明言できませんが、より地域の気象条件に即した外皮設計が求められていくようになっていきます。