よくある質問

長期的なコストや温熱環境の視点からおススメの床材はありますか?質感として、暖かく感じる材質が良いと思っています。

まず質感と温かみについてですが、
硬くて重い床材程、傷付きにくく、足の裏がひやっとします。
柔らかくて軽い床材程、傷つきやすく足の裏は暖かいです。

前者はタイルなどが挙げられ、後者は木材です。
木材の中でもナラなどの広葉樹は硬くて重く、
杉やヒノキなどの針葉樹は柔らかくて軽い傾向にあります。

また、いくら柔らかくて軽い床材を選んでも、そもそもの
室温や床の表面温度が低ければ、暖かさは感じられません。

長期的なコストという点では、まず床材を「一生モノ」と
捉えるかどうかが一つのポイントになってきます。

お寺の境内の床などは厚さ4cm以上の無垢材が使われますが、
あのレベルの物になりますと、少なくとも家を建てた世代の人が
死ぬくらいまでは長く持つ床になります。(紫外線や雨が当たらない前提)
建築の内装材については、一般に建物の想定使用期間と同じ耐久性を
持つ素材が、生涯コストで最も安くなる材料と言えます。勿論例外もありますが。
そういった意味では、杉の厚板は、花粉症も温熱も温かみも兼ね備えた床材と言えるかもしれません。
2階の床に関しては、耐震等級を考えるのであればどうしても24mmであったり28mmといった厚みの合板を施工することになりますので、あまり厚い床板を施工することは一般的には致しませんが、1階であれば、杉の厚板を使う施工もありなのではと思います。
今の技術の合板がどうなるかは、まだ分かりませんが、30年ほど前に施工された合板のフロア材などはどうしても合板の接着面が劣化し、人がよく歩く場所で床がたわんでしまうという例が多いです。
当時は12mmの厚みの床を1枚だけという施工も多かったので、
合板というだけの原因ではないかと思いますが、
層が剥離する可能性というのはゼロではありません。

ちょっと適切な回答になっているか自信がありませんが、参考にしていただければと思います。

漆喰、珪藻土は調湿効果が有ると聞きますが、高性能住宅でもビニールクロスよりは梅雨時期など快適になりますか?

珪藻土、漆喰の調湿効果が生かされるのは中間期です。
本当に湿気の多い梅雨~8月や、水分の絶対量が少ない冬は空調(加減湿含む)無くして快適にならないのは内装材を変えても同じです。
湿気の計算をされた高性能住宅は最低限無くては話になりません。それに加えて少し湿度変化がまろやかになるのが珪藻土や漆喰になります。どちらを選ぶかという話でもありません。

ダウンライトについて、電球交換可能なものにするべきかどうか悩んでおります。森さんはどちらを推奨されていますか?

今は電球交換タイプでなくても良いと思います。昔の照明は電球部分とその他の耐久性に大きな差がありましたので、電球交換は必須でしたが、今は電球部分とその他の部分の耐久性に殆ど差が無くなってきましたので、壊れたら器具ごと交換でも良いと思っております。もちろん、心配であれば電球を交換できるタイプの物にされておくのも良いと思います。

メンテナンスコストを考えますと、屋根、外壁、樋の素材をガルバリウムに合わせるなどすることが生涯コストを押さえることにつながりますか?この場合、漆喰などは耐久性が異なるため混ぜるな危険でしょうか?

素材を合わせるのはメンテナンスコストを抑えるためには有効です。
ただ、壁は漆喰、屋根はガルバなど、影響の少ない混ぜ方もありますので、絶対にやってはいけないという事はありません。
屋根材の耐久性の方が上に乗る太陽光パネルよりも短いなどの例が、混ぜるな危険です。
外壁の耐久性よりも、外壁にくっつける設備品の方が長持ちするというのも残念な例になります。

木製玄関ドアでおススメはありますか?メンテナンスが大変だと思いますが、やはり雨で濡れにくい設計が大事になってきますか?

気にしていただきたいのは雨と陽当たりです。木材は雨と紫外線で変化していきますので極力雨と紫外線を当てない方が良いです。
性能がしっかり出ればどこのメーカーのものでもOKです。
ユダ木工さんやガデリウスなどを使ったことがあります。
北海道にある「ノルド」さんと言う建具メーカー
北陸のキマドさんと言う建具メーカーの玄関ドアは
機会があれば使ってみたいなと思います。

ちなみにメンテナンスですが、理想を言えば、最初は細かくメンテナンスを行い、塗膜の厚さや浸透するオイルの量をぐっと増やしておくと、比較的長持ちいたします。車の塗装も傷んでからコーティングをするよりも傷む前にコーティングをかけてしまった方が長持ちするのと同じです。

これまでにいただいた質問

我が家の外壁はパワーボードで塗料はグランロックです。サイディング同様、塗り替えは必要ですが外壁自体は長持ちすると言われています。森さんはパワーボードについてどのようにお考えでしょうか?

パワーボードはサイディングに比べると非常に耐久性のある外装材になります。多少塗り替えをサボったとしても頑丈に家を守ってくれますので、私はありだと思っております。ただ、ガルバと同じように、テクスチャの種類は限られますので、デザインの種類はそれほど多くないですね。
パワーボードで、裏に通気層がしっかり取ってある建物は、夏の暑さのピークをシフトしてくれますので、高断熱住宅との相性も悪くないと思います。

機能やデザインを含めておススメの照明はありますか?また、選ぶ際に気を付けることなどあれば教えてもらいたいです。

多分誰に聞いても返ってくる鉄板の答えとしては青山製陶のソケット+裸LED電球の照明をブラケットに使うという物ですね。それを多用して浮いたお金で、これぞというダイニング上のペンダントを選ぶのが、いい感じかと思います。
選ぶ際に気を付けることは、自分の好みを設計士さんにはっきりと伝える事です。照明器具は性能部材です。光量や範囲等ある程度計算も必要です。自分で選んでもダメではありませんが、細かい器具の選定は設計士さんに任せたほうが確実だと思います。

トイレは立って行いますが、クッションフロアだと少し安っぽく見えてしまいます。耐久性他でクッションフロアもオススメなのでしょうか?

立ってされる場合は「イージーメンテナンス」を目指すか「ノーメンテナンス」を目指すかになります。イージーメンテナンスは、交換が簡単にできるようにしておくことで、クッションフロアなど、交換が容易で安いものにしておくイメージです。ノーメンテナンスを目指す場合は、目地の少なく耐久性の高いものを床材にすることです。TOTOのハイドロセラフロアやタカラのホーローフロアなどが該当するかと思います。

キッチンは、リビングの床材をそのまま貼っても大丈夫です。タイルは見た目も良いですが、目地部分は無垢材のフローリングと同じように染み込みますので目地のないフロアタイルでも気をつけたいですね。

お金をかけるか、掃除の手間をかけるか、生活の在り方を変えるか、仕方ないと諦めるか、どれか一つを選ぶのではなく、どの程度の割合で大事にしたいかを考えて自分の価値観を把握されると良いと思います。

板張り外壁は経年変化によって古くも味わい深いものになっていくと感じますが、ガルバはどのように変化していくのでしょうか?古めの民家でよく見るトタン外壁みたいになっていくのか気になります。

地域によります。岐阜市のように、塩害も無く、塩カルが撒かれる訳でもない地域ですと、30年前のガルバがほぼそのまま、多少色あせしたかな?くらいの感じで残っているというのもよくあります。
トタン壁とガルバは成分が違いますので、経年変化をするにしても同じようにはなりません。

焼杉の外壁はやっていますか?ガルバリウムとの価格差はどの程度ですか?

勿論採用することは可能です。杉板の単価はガルバリウムとほぼ同等ですので、焼く手間と施工の手間の分だけ高くなります。もし、建築予定地が十分に広くて、そこでご自身の手で杉を焼くことが出来れば、焼く手間は省くことが出来るかもしれません。ちなみに焼く手間は5分/㎡程度かかりますので、200㎡分焼こうと思うと丸二日程時間がかかります。