大寒波は家づくりの通知表!エアコン全力運転で我が家の暖房性能を知る

大寒波は家の通知表

こんにちは。凰建設代表取締役の森です。

2月は10年に一度クラスの大寒波が到来しやすく、住宅の真価が問われる、家づくりにおいて注目すべき時期です。

多くの人が「寒いのは外が大寒波だから」「異常気象だから仕方ない」と諦めてしまいますが、私はそうは思いません。

大寒波の日こそ、あなたの家がどれだけ家族を守れる実力があるかを知る「通知表」が届く日なのです。

高性能住宅という言葉が当たり前になった今、カタログの数字だけでは見えてこない「本当の暖かさ」とは何なのでしょうか。

「大寒波」は家づくりの答え合わせ

ママ

外は雪だし家の中まで寒くなって嫌になっちゃう。エアコンを最強設定にしてもなかなか暖まらないわ。

おっぴー

ママ、それは大きな間違いだよ。外が寒いから家の中が寒いんじゃなくて、その家の実力がバレちゃってるだけ。

大寒波の日は、設計者がどれだけ本気で家の性能を考えたか、答え合わせをする「通知表」が届く日。

大寒波が来たとき、ぜひ試してほしいのが、エアコンの「全力運転テスト」です。

一年で一番寒い日に、エアコンの設定温度を最高にし、最大風量でフル稼働させてみてください。「電気代がもったいない」と思うかもしれませんが、これには大きな意味があります。

その状態で、家中が不快感なく維持できているでしょうか?

もし、フル稼働させているのに室温が20℃を下回るようであれば、それはエアコンの容量選定が適切でなかったか、あるいは建物の断熱・気密性能が根本的に不足している証拠です。

逆に、大寒波の日でも普段と変わらず、家中がぽかぽかと安定しているなら、その家の暖房計画には十分な「余裕」があると言えます。

この「余裕」こそが、将来さらに厳しい冬が来たときの安心感に直結します。

また、雪が積もった日は外に出て自分の家の屋根を見てみてください。

近隣の家の中で、一番最後まで雪が残っている家はどこでしょうか?

もし自分の家の雪が真っ先に溶けているなら、それは「屋根から熱が逃げている」という動かぬ証拠です。

雪は嘘をつきません。断熱性能の差を視覚的に教えてくれる、天然の判定機なのです。

【大寒波の日の「住宅実力テスト」チェックリスト】

チェック項目内容
エアコン全力運転最大パワーで動かして、全室20℃以上をキープできるか?
屋根の雪チェック近隣の中で、自分の家の雪が最後まで残っているか?
玄関・お風呂の温度リビングと比べて2℃以上の極端な差がないか?
暖房の音常に全力でうなり声を上げ続けていないか?

暖房が動いているから暖かい?

ママ

エアコンをガンガン回せば暖かいのは当たり前じゃない。それが高性能な家ってことよね?

おっぴー

それは実は間違いなんだよね。エアコンっていうのは、外気温が下がれば下がるほど、やる気をなくす機械なんだよ。

そんな気まぐれな機械に頼り切った設計をしてるから、大寒波の日に泣くことになるんだ。

ここで知っておいてほしいのが、エアコンの「低温暖房能力」という数字です。

エアコンは外の空気から熱を盗んでくる機械ですが、外気温が2℃を下回ると、その効率(COP)は著しく低下します。

さらに、大寒波の日は室外機に霜がつき、それを溶かすための「霜取り運転」が頻繁に入ります。この間、暖房は止まってしまいます。

一番熱が欲しい時に、機械の都合で暖房が止まる…。これが設備に頼る暖房のリスクです。

本当の高断熱住宅(UA値0.2台やパッシブハウス級)であれば、この霜取り運転中に暖房が止まっても、室温はほとんど下がりません。

家自体が熱を逃がさない「断熱シェルター」になっているからです。

「暖房が動いているから暖かい」のではなく「暖房が止まっていても暖かい」のが本物。

雪の日でも1200Wの小さな電気ストーブ1台だけで、玄関に入った瞬間から家中が半袖で過ごせる。

そんな、建築そのものの工夫で解決する設計こそが、私たちが目指すべきゴールです。

ZEH水準(断熱等性能等級5)の限界と実態

ママ

うちはUA値がいいって言われたから安心だわ。ZEH水準なら十分暖かいんでしょ?

おっぴー

ママ、残念ながらその認識は20年前で止まってるよ。今の時代、ZEH水準なんて「人が死なない最低レベル」でしかないんだから。

アパート時代の数倍の断熱性能がないと、一戸建ての広さを快適に暖めるなんて無理な話。

20年前には「最高」と言われたUA値0.87(6地域の等級4)といった基準は、今の住宅性能の視点から見れば、非常に心もとないものです。

一戸建てはアパートと違い、外気に触れる面積が格段に増えます。

断熱を疎かにすると、広くなった分だけ光熱費が爆上がりし、それでも「足元が寒い」という悲劇が起きます。

特に、UA値という「平均値」の計算には現れない、設計の細部が不快感を作るのです。

例えば、玄関ホールや基礎断熱。

箇所詳細
玄関ホールの冷気流入玄関ドアの開閉の短い時間の間に、冷気はドライアイスのように床を這って侵入します。

家全体のUA値が良くても、玄関ホールの冷気対策を個別に行っていない業者は非常に多いもの。

玄関が「家の中で最も寒い場所」になり、家中を冷やす原因になります。
基礎断熱の不足足元を温める「床下エアコン」ですが、基礎断熱がUA値計算上の「最低限」であれば、熱の6割は地面を温めるために逃げてしまいます。

壁と同等以上の断熱厚(例えば100mm以上など)があって初めて、床下エアコンはその真価を発揮します。

床下エアコンで失敗しない「基礎断熱」については、こちらのブログで詳しく解説しています。

設計者に「UA値はいくらですか?」と聞くだけではなく「大寒波の日の玄関ホールの温度はどうなりますか?」と聞いてみてください。

そこで明確な答えが返ってこないなら、その設計は数字遊びに過ぎません。

太陽は「無料の暖房器具」である

ママ

冬の太陽って、当たると暖かいけど、家の中まで暖めてくれるほど強力なの? カーテンを閉めて熱を逃がさないようにしたほうがいいと思ってたわ。

おっぴー

太陽は「世界最強で無料の暖房器具」さ。それを使わないのは、宝くじに当たったのに換金しないのと同じくらいもったいないよ。

冬の設計において、最も重要な設備はエアコンではなく「南側の窓」です。

南側の窓から入る日射エネルギーを最大化すれば、外が氷点下であっても、無暖房で室温が25℃を超える「オーバーヒート」を起こすことが可能です。

日中も人が家にいる家庭では「暑すぎる」ということになってしまいますので、カーテンで日射を調節したり窓を開けて温度調節をすることで快適な温度で過ごすことができます。

逆に、共働き世帯で日中は誰も家にいないという家庭では、この「オーバーヒート」を敢えて引き起こしておくことで、夜まで熱を蓄える「貯金」として活用することができるのです。

また、冬の快適さは、温度だけでなく「湿度(潜熱)」にも左右されます。

高気密・高断熱住宅で「乾燥」が起きるのは、家の中で発生させた水分を勿体なく捨ててしまって、外の乾燥した空気と入れ替えてしまうからです。

簡単に言うと、過換気という状態です。
法律では2時間に1回以上の空気の入れ替えができる24時間換気の設備を家に備えておくこと、とされていますが、下限はあっても上限は設定されていません。

換気量にも適切な範囲がありますので、健康・加湿・省エネ、全てがバランスの取れる換気計画をすることが重要です。

加湿のことだけを考えると、手っ取り早いのは換気量を絞る事ですが、その場合空気質をモニタリングできるものは必須です。

おすすめは二酸化炭素濃度計です。
一般的には1000ppm以下、学校などの教室は1500ppm以下というのが目安ですので、ピーク時が1000~1500ppmになるように換気をコントロールしてみるのが、乾燥を防ぐひとつの手です。

それ以外に、加湿量ってどうやって決めればいいの?というご相談をよくいただきます。
実際に加湿量の計算してみましょう。

例えば、家の外の絶対湿度が4g/㎥、家の中の絶対湿度が10g/㎥だとします。
その差は6g/㎥。換気が100㎥/hで流れていると、6g/㎥×100㎥/h=600g/hの水が外に出ていく計算になります。それが24時間だと、14400g=14.4Lというわけなので、14.4Lの水を家の中で蒸発させる工夫をしてあげれば良いということです。

換気量は設計士さんに聞くと分かりますし、自分の地域の平均的な絶対湿度はこちらのサイトで確認ができます。

建築設計用気象データ

目標とする絶対湿度は、最低限で良いなら7g/㎥、しっとりさせたいなら10g/m³程度が目安です。

ただし、窓の性能が低い場合に加湿をし過ぎると、結露を起こしますので何事もバランスが重要です。

暖かい家は「最強の予防医学」

ママ

暖かいと快適なのはわかるけど、それって贅沢なことじゃないのかしら?

少しぐらい我慢するのが美徳、みたいな考え方もあるし、高い断熱費用をかけるのは勇気がいるわ……。

おっぴー

我慢は美徳じゃなくて「リスク」だよ。寒い家に住むことは、自分や家族の寿命を削ってるのと同じ。

住宅ローンより恐ろしいのは、一生涯払い続ける医療費なんだから。断熱は、家計を守るための投資なんだよ。

暖かい家(18℃以上)に住むことは、単なる快適性の追求ではなく、家族の命を守る投資です。

これを「ノン・エナジー・ベネフィット(エネルギー以外の便益)」と呼びます。

最新の研究では、室温が18℃以上の暖かい家に住む人は、寒い家に住む人に比べて、高齢者の転倒や躓きの確率が下がることが分かっています。

参考:伊香賀俊治「住宅の温熱環境と高齢者の健康」『応用老年学』第17巻第1号、2023年

身体が冷えると筋肉が硬くなり、反応が遅れるからです。

脱衣室やトイレといった、いわゆる「非暖房室」の温度を18℃以上に保つことは、家族の命を守るための義務と言っても過言ではありません。

35年の住宅ローンを払うことには皆さん慎重になりますが、寒い家で暮らすことで一生涯払い続けることになる医療費についても、真剣に計算に入れるべきです。

30年後も「不沈戦艦」であるために

防災のゴールが「自宅待機」であるように、冬の住まいのゴールは「大寒波の日でも家族が安心して過ごせること」です。

今、初期費用をケチって低性能な家を建てても、将来的に1000万円以上の光熱費とリフォーム代を支払うことになるかもしれません。

しかも、懸念はそれだけではありません。

これから本格的に導入される「炭素税」や、不安定なエネルギー価格の高騰を考えれば、今、最高レベルの断熱(等級6や7)を施しておくことは、家族の家計を守る最強の保険になります。

大寒波の日こそ、自分の家が「不沈戦艦」であることを確認してください。

厳しい寒さの中でも、いつものリビングで暖かいコーヒーを飲める…。その当たり前の幸せを、建築の力で守り抜きたい。それが、私たちが考える本当の家づくりです。

最後に

今回は「大寒波の暖房性能」について紹介をしてきましたが、

家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。

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この記事を書いた人

代表取締役

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー