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夏の日除け準備は4月から!4月と8月の太陽の動きはほぼ同じ

こんにちは。凰建設代表取締役の森です。
4月のポカポカした陽気、気持ちいいですよね。窓を開けると風が心地よく、布団を干したくなる季節です。
ただ、住まいの設計を長年やっていると、この4月の陽光に対して「この日差し、夏には大丈夫だろうか」という目線が先に来てしまいます。
今日は少し天文学的な話と、今から動くべき「日除け」の準備についてお伝えします。
Contents
春分・秋分から見た太陽高度の真実

4月って春でしょ?夏と同じって、どういうこと?気温は全然違うよね?

気温と太陽の高さは別の話。多くの人がそこをごっちゃにしてるから、夏になって『なんでこんなに暑いの!?』ってなる家がいっぱい建てられてるわけ。
春分の日から+N日 = 秋分の日から−N日

※カシオ高精度計算サイト(keisan)にて岐阜市(北緯35.25°東経136.45°)のデータをもとに作成
グラフで見ると一目瞭然です。夏至(6月下旬)を頂点に左右対称の山型を描いており、4月下旬と8月下旬で太陽が同じ高さにあることが確認できます。
この対称性を具体的な日付に当てはめると、以下のようになります。
| 春(春分起点) | 日数差 | 夏〜秋(秋分起点) |
| 3月10日(-10日) | 10日 | 10月3日(+10日) |
| 4月29日(+40日) | 40日 | 8月14日(-40日) |
4月末はお盆とほぼ同じ。
気温はまだ春でも、日差しの強さはすでに真夏です。
さらに注目していただきたいのが、3月10日と10月3日の太陽の高さも同じという点です。
3月初旬はまだ肌寒く日射が欲しい気温でしたが、反対に昨今の10月というと、まだまだ夏真っ盛りで日射は遮りたくなるはず。
同じ太陽の動きに対して、日射が欲しい場合と要らない場合の両方の時期があるのです。これを理解して、日射遮蔽について検討しないとどちらかの時期に不快な思いをすることになってしまいます。
「日差しが気持ちいい」窓は、夏に「巨大ヒーター」になる
4月に「ここ、日当たりがよくて気持ちいい」と感じる南向きのリビング。
しかしその窓から、8月に同じ角度の日差しが入ってきたとしたら、外気温35度超えの中、太陽熱が直接室内に降り注ぐことになります。
4月に心地よかった日差しと、8月に不快感をもたらす日差しは、太陽の高さという意味では「ほぼ同じもの」。
だから今この時期に窓への日差しの入り方を観察しておくことが、夏の日除け対策の第一歩です。
高断熱住宅は「魔法瓶」——一度温まると冷めない
断熱性の高い家は、冬は暖かさを逃がしにくい優秀な性能を持ちます。ただし裏を返すと、夏に一度室内に熱が入ると、今度はその熱が外へ逃げにくくなります。
保温性の高い魔法瓶に例えると分かりやすいでしょう。
冷たい飲み物を入れれば冷たさを保ちますが、熱いお湯を入れればそれも保温してしまいます。
だからこそ高性能住宅ほど、夏は「家の外で熱を止める」戦略が重要です。
熱を「家の外」で止める最適な方法


カーテン閉めてれば大丈夫じゃないの?うちいつもそうしてるけど…

それ、「ガラスを通過した熱がカーテンを温めて、その熱が室内に放出される」状態だよ。
熱を遮るための日射遮蔽は、「家の外」が基本だね。
窓の向きによって最適な日除けは違う
窓の向きごとに、効果的な遮蔽方法が異なります。
| 窓の向き | 太陽の特徴 | 効果的な遮蔽方法 |
| 南面 | 夏は高い角度、冬は低い角度 | 軒(のき)が有効。太陽高度によって自動切替される |
| 東面 | 朝の低い角度の日射 | 外付けブラインドなど「垂直の遮蔽部材」・袖壁 |
| 西面 | 夕方の低い角度の日射 | 外付けブラインドなど「垂直の遮蔽部材」・袖壁 |
特に東西面は、どれだけ深い軒を設けても角度が低いため遮れません。縦方向に遮蔽できる袖壁や外付けブラインドなどが必要になります。
さらに南面についても、暑い時期が11月頃まで伸びてきている影響で、軒だけの日射遮蔽では十分ではなくなってきています。
太陽高度が低くなる10~11月も暑い日が続き、日射を遮りたい日が出てきている為、軒だけではなく、南面についてもやはり「垂直の遮蔽部材」を併用する必要があります。
コスパ最強の後付け対策
設計段階での対策が難しかった場合でも、後付けで対応できる方法があります。
| 対策 | 費用感 | 特徴 |
| アウターシェード(外付けスクリーン) | 数万円〜/窓1枚 | 熱がガラスに届く前にカット。80~90%の遮蔽率 |
| よしず・すだれ | 数千円〜 | 立てかけ・吊り下げるだけ。風を通しながら日射遮蔽 |
| グリーンカーテン | 数百円〜(苗代) | 今から育てれば夏に間に合う。日射遮熱+蒸散冷却の効果あり |
まだ品薄になっていない今のうちに、よしずを一本買っておくだけでも夏の体感は変わります。
エアコンに頼りすぎない「無冷房チャレンジ」の楽しみ


無冷房チャレンジって、つまり我慢すること?正直しんどいのは嫌だな……

我慢じゃなくて、家の性能を「操縦」する楽しみ。ちゃんと設計された家でやるから意味があるんだよ。
朝の対策で夜の室温が決まる「予測運用」
家の熱容量は大きいため、昼間に温度が上がってしまうと夜になっても室内の熱がなかなか下がりません。逆に昼間に温度を上げなければ、夜も自然と涼しく保てます。
朝の時点で「今日は晴れて窓から日射が入りそう」と判断したら、朝のうちに東側や南側にすだれを設置もしくはシェードを下ろします。16時を過ぎたら西側の日除けを下ろしましょう。
こうした先手の動きが、夜の室温を決めます。
毎日部材を上げたり下ろしたりは大変、という方は夏が始まる頃に日射遮蔽を始めて、シーズン中は下ろしっぱなしという運用でも問題ありません。
ただし、風が強い日や台風シーズンは、シェードを上げたりすだれを片づるなど、二次被害に気を付けましょう。
夜の外気を取り込んで建物を冷やす「ナイトパージ」
「ナイトパージ」という言葉をご存知でしょうか。
夜間に外気温が下がったタイミングで窓を開け、冷たい外気を室内に取り込んで建物の熱を外に逃がす、という換気手法です。
高断熱の家は夜も熱を閉じ込めがちですが、外気温が室温より低くなった夜間に意識的に換気することで、建物本体(床・壁・天井)の温度を下げられます。
建物が冷えていれば、翌朝から室温の上昇を抑えることができ、昼間のエアコン使用量を減らせます。
岐阜市のような内陸部は、昼夜の気温差が大きい地域です。
この寒暖差をうまく活用することで、エアコンに頼らずに快適な温度を維持しやすくなります。
5月や6月、10月や11月といった夜間が涼しくなる時期にはぜひ試してみてください。
設備は20年で壊れるが、太陽の動きは100年変わらない
エアコンや換気扇などの設備機器は、長くても20〜30年で交換時期が来ます。
初期費用も高く、電気代もかかります。
一方で、軒やすだれ、アウターシェードといった「パッシブな日射遮蔽」は、一度整備してしまえば電気代ゼロで機能し続け、メンテナンスの手間も少ないもの。
太陽の動きは、これから100年経っても変わりません。
その法則を理解して家を設計・運用すれば、設備に頼らなくても快適さを確保できる範囲は広がります。
「太陽という無料のエネルギーを味方につけること」それが本当の意味での省エネ住宅の使い方だと思っています。
家族を守る「真の防災」は住まい手の運用技術にある


平常時は工夫できても、停電になったらもうどうしようもないんじゃない…?

日除けをちゃんとしてある家は意外と持ちこたえるよ。
断熱性能が高い家はエアコンが止まっても温度が急上昇しにくいし、日射遮蔽できてれば熱の入り込みも抑えられる。準備してない家とは全然違う。
停電時にも熱中症を防ぐ日除けの備え
窓の外側にアウターシェードやすだれが設置されていれば、電気ゼロで日射熱の侵入を抑えられます。
断熱性能が高い家であれば、外気が猛暑でも室内の温度上昇はある程度緩やかになります。
よしずやすだれを、緊急時の備えとしても活用できるアイテムとして手元に置いておきましょう。
毎年5月のゴールデンウィーク前後が、設置準備のベストタイミングです。
まとめ:今すぐ窓からの日の入り方を確認しましょう
今日のポイントを整理します。
- 春分の日から+N日 = 秋分の日から−N日。4月下旬はすでに8月のお盆と同じ太陽高度です。
- 熱は「窓の外側」で止めるのが原則。室内カーテンだけでは遅い。
- アウターシェード・よしず・すだれは今が購入適期。品薄になる前に準備を。
- 停電などの緊急時にも、日射遮蔽と断熱の組み合わせが命を守ります。
春の準備が、夏の快適さを決めます。今朝の日差しがどこの窓に当たっているか、ぜひ確認してみてください。
最後に
今回は「夏の日除け準備」について紹介をしてきましたが、
家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。
「家づくりに失敗したなぁ」と思う人を一人でも減らせたらと思い、
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