家づくりは最高のチームプレー|施主は総監督!プロの力を引き出す作法を紹介 

こんにちは。凰建設代表取締役の森です。

家づくりの相談を受けていると、よくこんな言葉を耳にします。

「素人なのでプロにお任せします」

ですが私は、この考え方が家づくりを難しくしている原因の一つだと感じています。

家づくりは完成品を買う「消費」ではなく、設計者や職人と一緒につくるプロジェクトです。

施主が「お客さん」という立場に徹してしまうと、このプロジェクトはうまくいきません。

むしろ施主は、チームをまとめる総監督のような存在です。

今回は、プロの力を引き出す家づくりの考え方についてお話しします。

家づくりという名の舞台劇。施主は客ではなく総監督

ママ

家づくりって、やっぱり「お客さんと建築会社」って関係じゃないの?お金を払うんだから、やってもらう側って感じがするけど…

おっぴー

その考え方が、家づくりをつまらなくしてるんだよ。注文住宅は「買うもの」じゃなくて「作るプロジェクト」なんだから。

注文住宅の家づくりは既製品を買う行為ではありません。多くの専門家が関わりながら形にしていく、一つのプロジェクトです。

消費者という檻からの脱却と配役の理解

家づくりを私は、一生に一度のオリジナル舞台劇をつくるような贅沢な遊びだと考えています。

この舞台劇には、それぞれの配役があります。

家づくりでの立場舞台劇での役割
施主家づくりの意思決定者スポンサー兼総監督
設計士建物の設計・構想を作る脚本家
現場監督工事全体の進行管理舞台監督
大工建物を実際に作り上げる職人俳優

ところが施主が「お金を払う客」という立場に徹すると、この配役が崩れてしまいます

「やってくれて当たり前」という姿勢は、家づくりを受け身にし、結果として家の質を下げることも少なくありません。

舞台劇で言えば、スポンサーが稽古を一度も見に来ない状態です。それでは、本当に望んだ作品になるとは限らないのです。

仕様(モノ)の指定を捨て、在りたい姿(コト)を語る責任

家づくりの打ち合わせでは、どうしても設備や材料の話が中心になります。

「食洗機はこのメーカー」
「断熱材はこの商品」

といった仕様の指定です。

もちろん必要な検討ですが、そこばかりに意識が向くと、設計は単なる部品の組み合わせになってしまいます。

総監督として本当に伝えるべきなのは、どんな暮らしを実現したいのかということです。

  • 夜に帰ってきた時に、ほっとできる家にしたい
  • 家族が健康で笑い合える場所にしたい
  • 災害のときにも安心して過ごせる拠点にしたい

こうした「在りたい姿」が共有されると、設計者は初めてその人の人生に合った空間を考えることができます。

さらに言えば、設計者が知りたいのは設備の希望よりも、施主がどんな価値観を持ち、どんな暮らしを大切にしているのかという背景です。

それを共有することで、図面は単なる設計ではなく、その人の人生に寄り添う空間へと変わっていくのです。

チームのパフォーマンスを最大化する信頼の心理学

ママ

家づくりって、ちゃんとチェックしたり監視したりしないと手を抜かれたりしないの?

おっぴー

まあ、そう思う気持ちは分かるけどね。疑ってかかると、だいたい現場の空気は悪くなりがちだよ。

家づくりは人の手でつくられる仕事です。

だからこそ、現場の空気や信頼関係が仕上がりに大きく影響します。

職人を熱狂させる一流のリーダーシップ

建築職人というのは、少し不思議な生き物です。

信頼されると「そこまでやらなくてもいいのに」と思うくらい丁寧に仕事をしてしまう人が多いのです。

現場では、数ミリの納まりや気密処理、断熱材の入れ方など、図面に書ききれない細かな判断が日々積み重なります。

この部分の丁寧さは、実は設備のグレードよりも住まいの性能に大きく影響することがあります。

「信頼しているから任せます。」

この一言が、数百万円の設備よりも現場の精度を高めることも珍しくありません。

さらに効果的なのは、施主自身が現場で「この家にどんな想いを込めているのか」を職人に伝えることです。

自分がつくる家で家族が暮らす姿を想像できたとき、職人の仕事は単なる作業ではなくなります。

完璧主義の放棄と鏡の法則

家づくりは、多くの人が関わるプロジェクトです。

だからこそ、最初から「完璧」を求めすぎると、関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。

もちろん施工ミスはあってはいけません。しかし、人が関わる以上、小さな行き違いや調整はどうしても生まれます。

大切なのは、疑いや監視から入るのではなく、建設的に話し合う姿勢。

現場を常に疑ってかかると、職人や監督は守りに入ります。その結果、本来の力を発揮できなくなることもあります。

私はよく「建築会社は施主の鏡だ」と感じます。

誠実な態度で向き合えば、相手も誠実に応えようとする。

逆に、最初から疑われていれば、人は必要以上の責任を背負おうとはしません。

良いチームで家づくりをするためには、施主自身もチームの一員として信頼を示すことが大切なのです。

30年先までチームを維持する、依頼先選びの眼力

ママ

家づくりって、やっぱりデザインとか価格で会社を選ぶ人が多いわよね?

おっぴー

まあ普通はそうだよね。でも本当に重要なのは「誰が30年後も面倒見てくれるか」。建てて終わりじゃないのが家づくりだよ。

家づくりは完成した瞬間に終わるものではありません。

むしろ、そこから数十年続くメンテナンスの付き合いが始まります。

大工を育てる会社を選ぶという、社会的投票

住宅会社を選ぶとき、多くの人はデザインや価格を比較します。

しかし長い目で見ると、もっと重要な視点があります。それは誰がその家を守り続けるのかという問題です。

住宅業界では、大工を完全に外注に頼る会社も少なくありません。

もちろん外注自体が悪いわけではありませんが、その体制では30年後に同じ技術者がいる保証はありません。

一方で、自社で若手大工を育てている会社は、地域に技術を残しながら家を守る体制を作っています。

さらに注目したいのが「作業場(加工場)」の存在です。

材料を刻み、道具を整え、技術を磨く場所がある会社は、工事そのものに対する姿勢が違うことが多いのです。

情報の非対称性を見抜き、宣伝費の正体を知る

住宅業界には、施主と会社の間に大きな情報差があります。

専門知識を持たない施主にとって、広告やカタログの情報が判断材料になりやすいからです。

しかし、その広告にも当然コストがかかっています。展示場やテレビCM、広告媒体などには多額の費用が必要で、その一部は最終的に住宅価格に含まれることになります。

また、大手ハウスメーカーではデザインや仕様が一定のルールに縛られていることも少なくありません。

ブランドとしての統一感は保てますが、断熱性能や窓仕様など自由度に制限が生まれることもあります。

依頼先を見極めるときは、広告の派手さよりも、その会社がどれだけ学び続けているか、技術を磨こうとしているかに目を向けることが大切です。

チーム崩壊を防ぐ、嘘のない生涯コスト計画

ママ

家づくりって、契約した後に金額がどんどん増えるって話、よく聞くわよね。

おっぴー

あるあるだね。最初は安く見せて契約して、あとから追加ってパターン。チームプレーどころか、そこで信頼関係が崩れるんだ。

家づくりで起こるトラブルの多くは、実はお金の問題です。

だからこそ、最初の段階で「人生全体のコスト」を共有しておくことが重要になります。

入口(契約)と出口(引渡し)の価格差をゼロに

家づくりでよくあるトラブルの一つが、契約後の大幅な価格上昇です。

契約時は魅力的な金額でも、詳細設計や追加工事によって最終的に数百万円、場合によっては1,000万円近く増えるケースもあります。

この問題の原因は、建物本体の金額だけで話が進んでしまうことです。

本来、家づくりに必要なお金は建築費だけではありません。

家具、家電、外構、登記費用、税金、引越し費用など、住み始めるまでに必要な費用を含めて初めて「住まいの総額」になります。

また、予算オーバーの最大の原因は意外にも家の大きさです。

総監督として、家族にとって本当に必要な広さを見極めることが、計画全体を安定させる重要なポイントになります。

後でお金の掛からない家への投資判断

家づくりに掛けるお金は、バランス配分というよりも積み上げ方式。お金を掛ける順番が重要です。

グレーの項目は一生モノ、その上の項目は一生モノではありません。

お金を掛けるべき順番は、断然一生モノの部材が先だと考えます。

断熱に掛けなかったお金は、設備(エアコン)で賄うことが可能です。しかし、電気代がかかりますし定期的な交換も必要になります。

実際に、エアコンが2台で済む家と5台必要な家とで比べると、30年で500万円ほどの差が出てきます。

家を建てる時に100万円の断熱強化を諦めたばかりに、住んでからの光熱費やメンテナンス費用で大きな差が付く例です。

つまり、家づくりで本当に考えるべきなのは「建築費をいくら下げるか」ではなく、その後の支出をどれだけ減らせるかという視点です。

例えば、外壁や屋根をメンテナンス性の高い材料にすること。断熱性能を高めること。

これらは初期費用が少し上がることもありますが、10年後や20年後の修繕費や光熱費を大きく減らす可能性があります。

家づくりの判断は、目の前の見積書だけではなく、30年後の家計まで見据えて行うことが大切なのです。

社会・地域と連携する壮大なチームプレイ

ママ

家づくりって、自分たち家族の問題だと思ってたけど…地域とか社会とも関係あるの?

おっぴー

むしろ思いっきり関係あるよ。家を一軒建てるって、意外と社会に影響する行為なんだ。

家づくりは個人の住まいづくりであると同時に、地域や社会にも影響を与える行動です。

どんな材料を使い、どこにお金を回すかは、未来の環境や地域経済にもつながっています。

国産杉を使うことは日本を救う投票

戦後、日本では住宅需要の増加に備えて全国の山に大量の杉が植えられました。

しかしその後、輸入木材が増えたことで国産材は使われなくなり、多くの山が放置される状況が続いています。

手入れされない杉林は老齢化し、大量の花粉を飛ばす原因にもなりました。花粉症の拡大には、こうした林業の停滞も影響していると言われています。

国産の木材を住宅に使うことは、単なる素材選びではありません。 山を循環させ、林業を支え、地域に仕事を残すという意味を持ちます。

家づくりでどの木材を選ぶかは、言い換えれば社会への投票行動でもあるのです。

花粉症と家づくりの関係については、以下の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

ゼロ・ステップと高性能リノベーションの選択

もう一つ、家づくりで見落とされがちな視点があります。

それは、日本に増え続けている空き家の問題です。

私はこれを「ゼロ・ステップ」という考え方で捉えることがあります。

つまり「新しく建てる前に、まず今ある住まいを活かせないかを考える」という最初の段階を考えていただきたいのです。

新築住宅が建つたびに、どこかで使われなくなる家が生まれることも少なくありません。その結果、地域によっては空き家が増え続ける状況が起きています。

だからこそ、新築を検討する際には、実家の活用や高性能リノベーションという選択肢を考える価値もあります。

既存の建物を耐震補強し、断熱性能を高めることで、新築に劣らない快適性を実現できるケースも増えてきました。

家づくりは、新しく建てることだけが答えではありません。

住まいの選択そのものが、社会との関わり方を決める行動でもあるのです。

家づくりは30年後のアンコールを目指して

家は単なる建物ではありません。

そこで過ごす時間や出来事が積み重なり、家族の記憶が蓄積されていく「器」でもあります。

だからこそ、家づくりは完成した瞬間がゴールではなく、そこから長い時間をかけて育っていくものです。

耐震性能や断熱性能をしっかり備えた家は、30年後も快適に住み続けられます。

その結果、家は負担になる資産ではなく、次の世代に受け継げる価値へと変わっていきます。

30年後の冬、暖かいリビングで家族が集まり「あの時のチームと、この家を建てて良かった」と思える。

それこそが、家づくりという舞台劇の本当のアンコールなのだと私は思います。

最後に

今回は「家づくりは最高のチームプレー」について紹介をしてきましたが、

家づくりにはまだまだたくさんの落とし穴があります。

「家づくりに失敗したなぁ」と思う人を一人でも減らせたらと思い、

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この記事を書いた人

代表取締役

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー