凰建設の森です。
私のGWは今日が最終日。
県内の貸別荘にairbnbを
利用して一泊してきました。
ここ数年、出張でも
旅行でもエアビーを
使う頻度がぐっと上がりました。
ホテルや旅館には無い自由さ。
上げ膳据え膳では無いですが、
自分たちが好き勝手に使える
民泊は私の性に合っています。
何より、オーナーにお金を
払っているという感覚がある。
地域にお金を落としているなと
感じられるのが好きな要因。
さて、本日の話題は、
新築、リノベ、どうする?
というお話になります。
もう数年前の事ですがメルマガで
「建ててしまったらどうしようもない
最初にしっかり作っておかなかったら
それは数十年の間、負の遺産として
残っていく。建築会社に出来ることは
これから作るものを最善にする事だけ」
という趣旨の事を書きました。
特に耐震性については、
初期性能で十分な強度を
確保しておかないと、
後からでは実質無理だという
事もあり得ます。
家は取り返しの付かない順に
完成していきます。
地盤改良や基礎の強度は、
後からの補強ではできる事が
非常に限られてきます。
そのメルマガの反響として、
救いが無さすぎる。冷たい。
というようなコメントを頂きました。
この点は本当に悩ましい。
世の中に、耐震等級3が必須
というイメージが浸透するのは
悪い事ではありません。
では、今現在で築20年程度の
耐震等級1の建物は、リノベを
する価値は無くて耐震等級3で
建て替えないとダメなのか。
上物は等級3にすることはできる。
耐力壁を増やして、水平構面も取って
接合部の強度を上げる。
引き抜きが足りない部分は、
ホールダウン金物を後付けしたり
アラミド繊維で補強したり。
しかしその上物に基礎が
付いてくるかというと、
そうなっていないことも多く、
出来るだけの補強でお茶を濁すか
曳家をする勢いで基礎を
作り直すか。
ついでに地盤補強もするか。
みたいなことをやっていると、
本当に建て替えたほうが早い。
新築は綺麗ごとが通用する。
しかしリフォームはそうもいかない。
素晴らしく丁寧に作ってある
家も勿論あるのですが、
多くはいい加減な施工。
図面通りに筋交いが入ってない。
勝手に外されていたりする。
接合部金物の施工がおかしい。
水平構面?何それみたいな
建物も沢山あります。
それを現行の耐震基準に
適合させることの難易度よ。
新築で、そこまで要らないか、
と、落とした等級をリノベで
リカバリするのは、新築時の
差額の10倍では利きません。
断熱であろうが耐震だろうが。
耐震等級3は必須と声高に
言うのは簡単。新築なら。
しかし、新築の事だけを
想定して等級3を叫び、
現存する2以下の建物を
否定するのであれば、
それは到底現実的とは
言えない話になります。
断熱にしても同じですが、
断熱はまだ救いがある。
外皮さえ剥がせば断熱補強は
し放題ですから。
最近では余り外皮を解体
することなく断熱補強が
出来るやり方も増えてきた。
新築で等級3は必須。
そこは全く異論はない。
それをリノベにも適用させる
べきかどうか。
ダブルスタンダードだと
言われてしまうかもですが、
現実的に考えると、
リノベ案件でも等級3以外の
建物には価値が無いとするのは
ちょっと行き過ぎだと思う。
これは私の持論なので、
正解かどうかはまた別だと
思ってください。
どんな建物であっても、
現行法規をクリアすることは
最低条件として、
リノベ後の耐震性能が、
1や2であったり、上物だけ3
という状態を認める社会じゃないと
本当に日本の空き家ストックは、
全部ゴミという事になります。
今も現在進行形で、
耐震等級3に満たない新築は
建てられ続けております。
住宅のライフサイクルは長い。
今年建てられた等級2以下の
家は、恐らく2060年くらいまでは
この世に存在するでしょう。
もし、この世に等級3以外の
家が無い状態を作ろうとしたら、
恐らくあと100年位はかかるのでは?
どうやったら耐震等級3以外の
建物が作られなくなるか。
それは、新築市場で、
「耐震等級3なんてオーバーですよ」
という経営者や営業や設計者が
全員退職した時です。
地動説も、天動説を信じている
学者が全員亡くなった後に、
確たるものになったんです。
コペルニクスが初めて地動説を
唱えたのが、1543年。
ガリレイやコペルニクスの著書が
禁書に指定されたのが1616年。
ニュートンが決定打の学説を
発表したのが1687年。
最初のムーブメントから、
100年以上掛かってるんです。
耐震等級3はまだマイノリティ。
必要なんだろうけど、ちょっとね。
工期も予算も厳しくなるし、、、
みたいな民意だという意味で、
地動説の1616年時点くらいかなと。
等級2で十分の人がいなくなるのに
まだあと数十年かかるのでは?
そこから50年後くらいで、
耐震等級2以下の建物が無くなる。
なかなかに途方もない話です。
リノベだろうと、地盤と基礎から
やり直して等級3にすべきという
意見があっても勿論いいと思うし
それは正論だと思います。
しかし、それでは社会の経済的な
負担があまりにも大きい。
私がやりたいのは、新築を
建てる事でも、耐震等級3の
建物を作る事でもなく、
今後の社会を豊かにする事。
社会の豊かさは個人の豊かさの
集合になります。
その家に住む人が不相応な経済負担を
抱えるのであれば、それはあまり
最適な解では無いという価値観。
この点は、新築とリノベの両方に
携わる実務者としては、避けて通れない
ジレンマになるかと思います。
それぞれの実務者さんが、
信念を持ってリノベに取り組み、
ゆっくりと民意が形成されていく。
それを見守りたいなとも思います。
今作られている、どうしようもない
住宅であっても、将来的に自分の
目の前にリノベ案件として現れたら
なるべく逃げずに取り組みたい。
だって、作っている建築会社は
自社の建物のリノベなんて、
手を出したくないでしょうから。
新築、リノベ、社会の未来。
自分のできる範囲で、最適解を
提供し続けて行きたいなと
思っております。
だから、リノベで等級3が無理でも
ダブルスタンダードじゃないですか!
って、言わないでもらえると、
私も救われます。
よろしくお願いします。
