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UA値より負荷計算

温熱と住宅性能

凰建設の森です。

昨日の上棟は、
雨に打たれる事もなく
無事に終了。

100点満点の進みでした。
よかったよかった。

本日は午前中会議で
午後からは取材が。
さてさてどんな記事に
なるか、楽しみです。

本日の話題は家の性能。
家の性能、高い方が
いいですよね。

UA値、C値、ηAc値
などなど、色んな指標が。

ちなみに昨日上棟の家、
UA値0.27で準防火地域。

そう、窓の性能に
ビハインドを負う地域。

また、周りを高いビルに
囲まれた、日照環境的には
非常に不利な地域になります。

どの方向なら抜けた景色が
見えるのかを現場で調べ、
出来得る限りの大開口を配置。

それでも、弊社がいつも
やっていがちな、南側に
大きな窓をどーん。

という家よりは窓は少な目。
だからこその低いUA値です。

大開口窓どーんのUA値0.35と
準防火地域で窓の少なめな
UA値0.27の家だと、
どちらの方が暖かく感じるか。

実は、暖かく感じるのは
UA値0.35の家になります。
(勿論設計によりますが)

外皮面積が300m2、
うち南の窓が15m2の
UA値0.35の家と、

外皮面積300m2、
うち南の窓が1m2の
UA値0.27の家を

比べてみたいと思います。
南の窓と言うのは、
冬季の日射取得に有効な
南の窓と言う定義で。

1日を通して、内外温度差が
15℃だったとします。
日射は10時~14時まで、
200W/m2入るとします。

UA値0.35の家は、
0.35×15℃×24h×300m2=37.8kWh
日射取得熱は
0.2kW/m2×15m2×4h=12kWh
差し引きの熱損失は25.8kWh

UA値0.27の家は
0.27×15℃×24h×300m2=29.2kWh
日射取得熱は
0.2kW/m2×1m2×4h=0.8kWh
差し引きの熱損失は28.4kWh

という事で、逆転現象が起きます。
1日の平均室温が家全体で
1℃ちょっと、高くなります。

その他いろいろな要素があるけど、
UA値と日射だけで言えば、
南面がしっかり日射取得できるなら
UA値を犠牲にしてでも沢山の
窓を配置した方が数字的には有利。

太陽光の電気で暖房すればいいとか
空気集熱式暖房をすればいいとか
そういう意見もあります。

確かに今はそっちの方が暖かい。
だけど、開口部による日射取得熱で
暖かくできる家というのは、
30年後でも40年後でも変わらない。

家は自分と共に死んでいけばいい。
そう思うなら自分の寿命と設備の
寿命を合わせた家を作るのが正解。

そうじゃなくて、自分が死んだ後も
誰かがこの家に住んでほしいと
思うのであれば、残すべきは
設備ではなく、箱としての性能。

その住宅のライフサイクルコストを
最小にするためには、換気も空調も
何もない状態で、如何に冬季室内の
自然室温を上昇させるか。同時に
夏季室内の温度上昇を抑えるか。

というのが物凄く大事になってきます。

恐らく世間一般の日本人の感覚と、
私が持っている感覚は、建物の
寿命という点では乖離があるはず。

家なんて自分が死んだ後はしらん。
そっちの感覚の方が圧倒的多数派。

だけど、日本の家の寿命は確実に
伸び続けてきており、今時点で
約60年、17年後には80年以上持つ
家を遺さないと社会が成り立たない。

この70年続けてきた粗製乱造、
スクラップアンドビルドの
住宅事情は今後確実に変わっていく。

私が言いだしたんじゃない。
国交省が10年以上前から
ずっと言い続けてきている。

そしてこの10年で家づくりの
在り方は凄く変わってきた。
20年前、高気密高断熱の家は、
今で言うと水素水となんら
変わらないくらいの扱い。

そんなことにお金を掛けて、
本当に暮らしが変わるんかいな
って、半信半疑のお客様を
なんとかなだめすかして
高断熱住宅に住んでもらった。

高断熱住宅はブームだから
売りやすいと思っている
住まい手さんもいるかと思う。

今ならそれも当てはまりますが、
震災前から高断熱住宅を
やっていた建築会社というのは、
この先に未来があるのかどうかも
分からない荒野に希望を見出し
倒れていく仲間、断熱が高くて
売れないからローコスト住宅等に
闇落ちしていく仲間を見ながら
やってきた会社ばかりです。

建築会社で儲けようと思うと、
ローコスト路線の方が実入りは
良いですからね、、、

高断熱住宅の受注獲得というのは
営業ではなく技術の話です。
昔から地力をつけてきた会社が
頭角を現してくるのは当然。

もしくは急いで技術力を
高めてきた会社が目立つのは
あたりまえのことになります。

UA値の計算もできないような
設計担当者がブログやSNS、
動画などで色々発信しても、
どんどん馬脚を表していく。

知識や技術の無い営業マンに
高断熱住宅を売らせるのは
ほんとうに大変です。

彼ら自身が断熱の価値を
分かってないし分かろうとも
しないから。

そして、そういう人たちが
陥りがちなのがUA値競争。

UA値を良くすること自体は
いい事になります。

同じ条件ならUA値が低い方が
暖かい暮らしになるので。

しかし、UA値を良くしたいが為に
日射取得の出来る窓を犠牲にして
壁の面積を増やしていくというのは
リスクの方が大きい物になります。

だから、UA値も含めた
住宅全体の負荷計算をする。

顕熱も潜熱も。
お施主様の暮らしの要望が
きちんと反映された負荷計算を。

そういう事も含めた最適を
求めていく事が大事です。

だから、UA値がいいかどうかを
建築会社に聞くよりも、
きちんと負荷計算って
してくれていますか?

って聞いた方が良いと思います。
エアコンや熱交換換気、
全館空調システムというのは
空調設計の最も下流に位置するもの。

上流の負荷計算がいい加減なのに、
下流の設備選定だけやっても、
なんの意味も無かったりしますから。

お気をつけて。

#温熱は物理 #快適は設計でつくる #設備より建築

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー