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あなたの生涯の話じゃない。

温熱と住宅性能

凰建設の森です。

雨交じりの天気で
涼しくてありがたい。

本日は現場の検査。
主に断熱や熱橋に関して。

最近は本当に安心して
見ていられます。

断熱材を捨てないでと
お願いし続けた結果、
基礎内断熱は部分的に
図面の3倍ほどの厚みで
断熱が入っていたり。
(端材を使ってます)

断熱なんて、あるだけ
ありがたいですからね。

さて、本日の話題は
生涯コストって何?

というお話になります。

よく、生涯コストと
言っておりますが、
言葉の定義が曖昧だったと
少し反省しております。

家を建てる時に生涯コストで
安い家にしましょうという
お話をしております。

その生涯って、誰の生涯?
そりゃあ施主の生涯でしょう。

いえ、ごめんなさい、
違います。

その家の生涯を指しています。

家の寿命が30年そこそこに
なってしまったのは、日本では
戦争が終わってから。

350年続く合掌造りを筆頭に、
日本もまた他の先進国と同様に、
家は100年以上、住み継がれて
いくものでした。

しかし、戦争が終わり、
未曽有の住宅難の中で、
その価値観は失われていきます。

俺と一緒にこの家の寿命も終わり。
昭和から平成にかけての
お施主様は殆どがその感覚で
家づくりをやってこられました。

今でも屋敷は住み継ぐものという
感覚を持っているのは、
一部の古くからある大地主さん
くらいのものだと思います。

女房と畳は新しい方がいい。
伊勢神宮は20年で建て替える。

古くからの慣用句や伝統が、
都合よく引用され、日本の家は
数十年で壊すというのが、
当たり前になってきました。

そして、その価値観で国民が
家づくりをしてきた結果、
日本は空き家問題という、
どうしようもなく貧相で
耐久性も短く、暑く寒く、
お金のかかり続ける家を、
次世代にゴミとして押し付ける
大きな社会問題を抱える事に。

家屋敷を受け継ぐのが、
有難い事ではなく、
迷惑な事になってしまった。

もし、両親や親戚から、
譲り受けた家が5千万円、
1億円という金額で売れるなら
物凄くありがたい事ですよね。

そんなに高くなくてもいい。
親や親戚が建てた時の価格で
売れるだけでも十分です。

そんなんだったら誰だって
家屋敷を相続したいに
決まっています。

自分が貰う側だったら、
そういう家が良いですよね。

では、自分が遺す側だったら?
いや、そんなに高値で売れても
自分に恩恵は無いし、、、
普通でいいです。

という事になります。

それが、多数派の価値観。
だとすると、家の耐久性は、
自分が死ぬまで。

しっかり作れば100年後でも
200年後にでも受け継ぐことが
出来る木造住宅の寿命を、
自分と一緒に無理心中させる。

木材は条件さえ良ければ、
伐採後200年かけて強度を増し
その後1000年かけて伐採時の
強度に戻るという素材です。

それを?30年で?壊す?

非常におこがましい。
自然への畏怖であったり、
感謝の念という物が欠落している。

そんな大がかりな使い捨てを
やっているから貧しくなる。

安いし、いつも新しいものを
使えるからと、毎食紙皿で
食事を摂るようなものです。

それでお金が溜まると
思う人はいないかと。

良いものを長く使うことが、
物のコスパを上げ、自分も
社会も両方豊かになる道です。

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実質無料で良質なお皿を
使い続けられるという事に。

決して新しいものを買い続け
経済を回すという方法では
社会は豊かになりません。

価値のある物を築き上げてこそ
資産になる訳で、消えてなくなる
物をいくら買っても資産にはならない。

1000万円の家を25年おきに
建て替えて生活をするのと、
5000万円の家を150年使うなら
後者の方が割安です。

5000万円の中身が、
デザインや設備に割り振られ
耐震性や耐久性、断熱性に
割り振られていなければ、
それは25年しか使えない5000万円の
家になってしまいますが、
正しく性能に予算を掛けた家は
150年の時を越えられます。

長期目線で考えれば考えるほど
省エネ性というのは上げたほうが
得になります。

5年前、10年前と今を比べると
電気の卸売価格はこんな感じ。
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前々からずーーっと
言われてきました。

化石燃料が稀少になり、
エネルギー価格は上がると。

10年前、私たちは
原価が12円の物を20円で
購入していまいた。

今、私たちは原価が30円の
ものを30円で買っている。

辻褄が合っていない。

このまま行けば電力会社は
軒並み破綻します。

新電力の会社さんは
既に沢山破綻している。

電気代は上がるしかない。
お金を出せば買える状況が
続くならまだいいけど、
お金が有ってもエネルギーが
買えないという状況も
視野に入れて考えるべき。

この状況が来ることは分かってた。
原子力発電の規制が厳しくなり
再稼働が思うように進まないことも
分かっていた。

9月1日に宿題を提出しなければ
ならないのが分かっていたのに
夏休みの間中遊び続け、
8月30日になってから、
「こんな量の宿題、殺す気か!」
って怒っているのと同じです。

やる事やってこなかったから、
今が大変なんです。

明日はもっと苦しいのが
既に分かっているんです。

しかし、今大変なのは、主に
電力会社さんになります。

私たちは拘束力のない
節電要請が来るだけです。

漠然とした不安があるだけで、
そんなに実害はありませんよね?

電力会社が防波堤になり、
みんなの生活に支障が出ないよう
受け止めてくれている。

スポット価格に連動した、
電力料金設定にするだけで、
節電要請も何もかも一気に解決。

お金のある人は電力価格が
4倍の120円/kWhでも
いくらでも買ってね。

そうじゃない人は買える分だけの
1/4位のエネルギーで我慢しようね。

そういう風にして
後は市場に任せればいい。

買える分だけのエネルギーで我慢
という事が現実的になった時に、
物を言うのは家の保温性能です。

暖房時に比べて冷房時は
断熱性能は重要度は低い。

しかし、エネルギーが使えない
という状況になったらまた別。
シンプルなクーラーボックスとしての
性能が物をいうように。
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我が家は1位の物を使ってますが
断熱ばんざい。24時間経っても
キンキンに冷えてます。

限りなく少ないエネルギーで
人が死なない環境を作ることが
出来る家が求められる
時代が見え始めている。

150年家を持たせようと思ったら
そういう事ができる性能の
家じゃないと、役に立たないんです。

地震などでその性能が維持できなく
なったら困るから、とにかく家を
固く作ることが大事です。
だから耐震等級は3じゃないと、
150年先には家を届けられない。

150年持たない部材は交換が必要。

木造住宅の場合、150年先まで
届けられる耐久性を持つ素材は、
コンクリート、木材、断熱材。
石や焼き物(瓦・タイル)

それ以外の物は一生ものではない。

交換ができるようにしないとダメだし、
その内側にあるものが交換が必要なら
一生ものの部材ではなくなります。

交換する時に
「いやあ、交換は大変ですよ。
建て替えてしまいましょう」
と言われる家でもまたダメ。

ちょっと近所まで散歩に行くなら
財布と携帯だけ持っていけばいい。

でも1か月旅行しようと思ったら
洗濯の準備だって必要になる。
大荷物になるんです。

長期的に考えて行けばいくほど
考慮する事項は多くなります。

家づくりの主役はあなた。
だけど、長期目線で考えると
施主だけの為の家で良いか
という話にもなります。

あなたじゃない人が使っても
その家は使いやすいかどうか
という観点だって必要です。

そういうことを含めて
生涯コストで最も安い家とは
何かを考える。

自分だけではなく、自分や
家族以外の人の豊かさや
幸福をも考えて家を作る。

そういう事ができる人が
増えれば増えるほど、
この国は豊かになります。

余裕のある人から。
気づいた人から。

家が建っている期間
という意味での生涯コストが
安い家に挑戦してもらえると
いいなと思います。

#温熱は物理 #快適は設計でつくる #設備より建築

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー