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パッシブな空調計画

温熱と住宅性能

凰建設の森です。

本日午前中は昨日に
引き続き埼玉の皆さんの
岐阜視察の受け入れ。

昨夜は岐阜の夏の夜
といえばこちら
↓ ↓
https://www.ukai-gifucity.jp/Ukai/jirei_geiko1.html

県外からお越しの方には
非常に喜んでいただける
鵜飼の船遊びですね。

色々誤解されがちな部分も
あるのですが、
文化を守る活動をしている
人を応援するのは大事。

ぜひ、夏の岐阜にお越しの際は
体験してみてくださいませ。

多分、思っていたイメージと
いい意味で大きく違います。

昨日の皆様も、楽しかった、
また来たいと仰って下さいました。

そして今日は弊社事務所と
モデルハウスに
お越しいただきました。

昨日の実績現場でも、
弊社のモデルハウスでも、
私が行う空調計画というのは、
パッシブ手法が基本です。

空調というのは、詰まるところ
エネルギー差のある空気を、
ぶつけ合うことになります。

27℃の空気に16℃の空気を
ぶつけると、10℃×0.34Wh/m3
のエネルギーが動きます。(顕熱)
風量が100m3/hなら340W、
500m3なら1700Wの冷却効果。

だから、空調計画というのは、
空気のエネルギー差をどう作るか
(これは大体エアコンという事に)
そしてその空気をどう動かすか
ということに尽きるわけですね。

空気を動かす方法が、
パッシブかアクティブかで
別れることになるんですが、
アクティブに空気を動かすなら
送風ファン+ダクト。

これは非常に楽でして、
間取りの工夫よらず、
比較的好きな場所に好きなだけ
空気を送ることができる。

パッシブな手法で空気を動かす。
これは非常に難しい話。

空気は温度湿度の違いにより、
密度が変わります。密度の違いが
空気の上下移動を生みます。

それを生かすことになります。
例えば吹き抜けを使う場合。

1.65m×1.65mの吹き抜けに、
0.05m/sの気流を作ることが
できたとします。

全部掛け合わせて、毎秒を毎時に
直すために3600s/hを掛けると
490m3/hの空気を動かせる。

490m3/hの空気を、ファンで
送ろうとすると、相当な駆動音が
発生することになります。

ダクティングで個室に空気を
送り届けようとして失敗をする
という人は全国で後を経ちませんが
失敗する理由は大体風量不足。

そんなにたくさんの空気を
送らないといけないとは
思いませんでした。

ってよく言われます。だから、
ちゃんと計算しましょうね

と空調設計講座でお伝えをする。

同じ空気を送るとしても、
パッシブな手法だと、静か。

こうやって文字にすると、
まあなんとなく理屈はわかる。

しかし、実物を見なけりゃ、
体感で納得はできない。

それを見に来られたというのが、
今回の視察の皆さんなんですね。

弊社の物件は、どちらでも
いいという場合はパッシブな
手法を優先させます。

機械をなるべく使わない。
建物の形状などといったもので
自然に空気が動くようにする。

「棟木がダクト的な役割をしてますね」
モデルハウスの熱の流れを、
サーモカメラで見ておられた、
上尾の佐藤さんのコメントです。

何の事だか想像できます?

パッシブを突き詰めると、
空気を送るダクトは、必ずしも
囲われている必要はない。

これは見た人じゃないと、
体感した人じゃないと
わからないと思うし、
それを実設計に応用しようと
思う気になんてなれないはず。

あれだけたくさんのファンを
家中に設置して、空気を送る
ことに腐心していたのが
要らないなんて、ずるくない?

って言われたりもします。

パッシブな手法というのは、
設計者としてはマネタイズが
難しいというハードルもある。

ファンやダクトを設計すると、
商品代や施工費に、設計費用を
上乗せして請求しやすい。

パッシブに空気を動かす工夫は
目に見える商品がない。

実際にはパッシブに空気を
動かす技術の方が習得は難しい。

勉強をした上、売り上げが
立ちにくいということに
陥りやすいんですね。

知識や技術にお金を払うという
感覚を日本人は持ちにくい。

形の見える物にはお金を払うけど
その人の知識にお金を払うことは
なんとなく嫌なものになりがち。

ある工場に、どうにも調子の悪い
機械があった。工場の人が、
どれだけいじっても上手くいかない。

困った工場の人は、外部のエンジニアを
呼んで直してもらった。

やったのは、たった一本のネジを
増し締めしただけ。しかし機械は
調子良く動き始めた。

この場合の請求額はいかほどが相場か。

原価もかかっていないし、消耗品も
使ったわけではない。
交通費だけなんじゃないの?

っていう感覚になりやすいですよね。

しかし、そのエンジニアさんは、
誰が見ても直せなかった機械の
不調の原因を見極める知識や技術を
長い時間をかけて習得したわけです。

その知識や技術に対して、対価を払う。

パッシブな空調設計技術も、
知識や技術にお金を払う感覚がないと、
え、なんの機械も使ってないのに?
設計することに対してお金を払うの?
という風に思われがちです。

そう思うなら自分でパッシブな空調を
設計できる知識を勉強してみるといい。

パッシブな換気や、パッシブな空調は、
シンプルだし壊れないし、静か。

だけど消費者の、知識や技術に対して
対価を払うという意識の低さが、
普及の妨げをしている面も残念ながらある。

住宅の話だけではありませんが、
そういう、職能にお金を払うという
文化がもっと広がると、
社会はもっと豊かになると思います。

昨日の船遊びも、クライマックスは
大盛り上がり。それが西日本では
岐阜にしかいない幇間さんの技術です。

盛り上がりすぎて殆どが1次会で
クタクタに疲れてそのままお宿に。

大変健全にお開きとなりました。
2次会3次会に雪崩れ込むよりも、
かえって安く済んでいるんです。

高い職能が正しく評価される時代が
やってくるといいなと思います。

どうぞ、参考になさってくださいませ。

#温熱は物理 #快適は設計でつくる #設備より建築

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー