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大きな家は難しい

温熱と住宅性能

凰建設の森です。

本日は資金計画が一件。
大きな大きな、二世帯住宅の
計画になります。

大きさ別に2パターンの
資金計画を作らせて
頂きましたが、
大きい方の計画になると、
私が今まで作らせていただいた
家の大きさの最大記録を
更新する感じになってきます。

ちょっと、楽しみです。

ですが世間一般の感覚から言うと
高気密高断熱住宅の設計者は
大きな家を嫌がる傾向があります。

大きな家の相談が来たら、最初から
断るという、高断熱の工務店さんも
いらっしゃるくらいです。

なぜかというと、
クレームになりやすいし
そもそも依頼される可能性が
低いから。

暖かい涼しいが売りの、
高気密高断熱住宅なのですが、
大きな家になればなるほど、
家中を暖房したり冷房したり
するのが大変になります。

高気密高断熱にしたのに
なんで脱衣がこんなに寒いの?

とかすごく言われやすい。

実は現在の私の家も、
かなり大きな家になりますが、
やはり温度ムラは出来やすい。

全館空調を入れると、
温度ムラは少なくなりますが、
今度は光熱費が大変な事に。

すごく乱暴な係数ですが、
岐阜地域の場合、

Q値×床面積×513で

家中快適に過ごすための
冷暖房費が算出できます。

Q値2.0で、100m2(30坪)
の家であれば、
2×100×513=102,600円/年

Q値が1.0になれば、半分の
5万円程になるんですね。

しかし、Q値が1.0であっても
床面積が200m2(60坪)なら
やっぱり10万円掛かるんです。

そしてQ値が1.0で60坪の
家を作ろうなんて思うと、
とんでもないイニシャルコストに。

なので、断熱を削って
Q値2.5で200m2みたいに
してしまいがちなんですね。

すると、
2.5×200×513=256,500円/年

冷暖房費だけでですよ?
テレビ見たり照明を付けたり
という電気代はまた別です。

せっかく入れた全館空調も
床暖房も使われなくなり、
結局リビングだけを
暖房して過ごすことに。

60坪の家の年間冷暖房費を
5万円で収めるためには
Q値が0.5くらいじゃないと
辻褄が合わないんですね。

家を大きくするほど、家の性能も
上げて行かないとダメなんです。

そして、そのレベルに行くと、
基礎や土台の熱橋がだんだん
支配的になって来て、
断熱材の厚み×面積という
単純な計算では辻褄が
合わなくなってくる。

異種換気を組み合わせた際の
熱交換効率低減も考慮しないと
計算が合わないです。

日本のルールではまだそこまで
細かなところの熱損失は
拾えていません。

だから日本のルールでQ値0.5
と算出されても、そのままで
冷暖房費計算をしたら合わない。



話が横に逸れてしまいましたが

そもそも金額がとんでもない事に
なってしまう為、依頼が来にくい。
そのうえ性能を下げてしまうと
家の広さによるクレームが来やすい。

という事で、大きな家の
高気密高断熱住宅の計画は、
敬遠される傾向にあります。

先日内覧会をさせて頂いたような
60坪近いパッシブハウスなんて
本当に珍しいんですね。日本では。

建てているこちらが心配に
なる位の金額になります、、、

しかし面白いのが、大きな家の
お客さんは他社で建てた2年後くらいに
連絡を頂くことが多い。

「なんか家が寒いんです」
「光熱費が凄いんです」

多分、このメルマガを読んでいる、
全国の断熱をやっている同業者さんは
首がちぎれる位頷いているはず。

基本的に断熱の失敗は、取り返せない。
大きな家であればあるほど取り返せない。

だから、事前にちゃんと計算をして
シミュレーションをして、数字を出して
提案をさせて頂きます。

気になる会社さんがあるのであれば、
その会社の断熱構成で
温度や光熱費がどんな感じに
なるのかをシミュレートすることも
可能です。

家の大きさはこの坪数。
最低保証温度はこの温度。
それでいて冷暖房費はこの金額。

ちなみに建築費はこんなもん。と

しかし、きちんと断熱すると、
やはりとんでもない金額。

なので多くのお客さんは、
大事な数字を絶妙に隠した
高断熱ポエムの家を建てられます。

設計者の立場としては、深追いせず
ポエムに騙された後のお客さんを
ほれみたことかとフォローする方が
良い人でいられるので、それは楽。

だけど誰も幸せにはなれません。

深追いしない対応が正解なのか
最初から断る対応が正解なのか
断熱削って造るのが正解なのか

それも答えは出てきません。

大きな家は本当に難しい。

ぼやきみたいな感じになりましたが
本当に難しいんですよね。

後は、お客様の判断に
委ねるのみです。

さてさて、どうなるでしょうか。

#温熱は物理 #快適は設計でつくる #設備より建築

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー