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構造用合板の透湿性能は大事?

温熱と住宅性能

凰建設の森です。

本日は珍しく事務所に一日。
今日、明日で溜まった事務仕事を
一気に片付けねばなりません。

明後日は大阪、明々後日は福岡。

さて、本日も質問箱から。
広告が出たりでなかったりしますが
出ないときは質問箱の機嫌が
良いのかな?と思って
答えるようにしていきます。
↓     ↓
%url1%{https://peing.net/ja/q/a7a1e829-bff0-4c3e-8a67-f92e4bc237a6/completed}

構造用合板は透湿抵抗が
高い物を使っても大丈夫?

という質問ですね。

結論だけ言うと大丈夫です。
しかし注意点もあります。

まず大丈夫な部分から。

外皮の透湿計算というのは、
熱の流れ方と湿気の流れ方を
思ったようにコントロールする事。

学生さんに説明する時には
こんなイメージですと言ってます。
↓     ↓
%url2%{https://www.ohtori.net/wp/wp-content/uploads/2023/11/0e08131a4f79d53e7c226b49e6886a44.jpg}

湿気が遅れて行くように
ハードルの高さ(抵抗値)を
調整するわけですね。

各部材で熱の抵抗値と
湿気の抵抗値は決まってます。

室内仕上げに近い側は
湿気の抵抗が高く熱の抵抗が
低い素材を選んだ方が冬は有利。

外壁仕上げに近い側は熱の抵抗が
高くて湿気の抵抗が低い方が有利。

断熱材が、熱抵抗が高く、
透湿抵抗が低いGWなどの場合は
その手前に、熱抵抗が低くて
透湿抵抗が高い防湿フィルム等を
施工して、湿気が先行してしまうのを
防げば大丈夫になります。

質問では透湿気密シートとありましたが、
恐らく調湿性のある気密シートの事だと
思いますのでそう脳内変換して回答してます。

ノボパンは構造用合板の中では
透湿抵抗が高い素材ですが、
それでも気密シートと比べると
10倍程度の違いがあります。

正しく施工されていれば問題はありません。

これが、大丈夫な部分です。

じゃあ、注意事項は?
という事ですが、
質問で頂いた外皮構成は、
高断熱住宅に取り組む会社さんだと
非常によくある一般的な構造です。

だから決して欠陥構造だという
事はありません。

しかし、こうして日本の多くの外皮構成は、
冬場の内部結露防止の要の気密シートが
内装下地のすぐ裏側に来ることが多いので
この気密シートの保全というのは超重要。

長い年月の間に、カレンダーを掛けたり
時計を掛けるなどして壁に穴を開けた際、
その気密シートが破れてしまうと、
家の中がしっとりして外が乾いている程、
その破れから水蒸気が壁体内に流入します。

最初はピンホール程度の穴ですが、
時間が経っていくほどに、穴は揺すられ
広がって行きます。
水蒸気が壁体内に流入する量も
多くなっていくわけです。

築年数が経過して、オーナーさんが
変わっても、外皮面には穴を開けては
いけないというルールが伝承されて
行けばいいのですが、そりゃ長い
年月の間に何があるか分からない。

だから、外皮の室内側仕上げのすぐ裏に
性能の要になる厚さ0.2mm程の
シートがあるって、大丈夫なの?

と、疑問に思う声も上がったりしますし、
気密断熱に懐疑的な家づくりをされる方が
その点を槍玉に挙げる事も少なくない。

しかし、日本の大多数の高断熱住宅は
そういう仕様なんだから仕方ない。
壁の向こうが外になる、外皮部分は、
後から穴を開けちゃダメだからね。

と、子ども達や、次のオーナーさんに
伝えていったほうがいいです。

それ、何とかならないの?
という声もあるかと思います。

はい、ちゃんとあるんですね。
要するに、防湿の要になる
気密フィルムが傷つけられにくい
位置に来たり、そもそも防湿の
要をフィルム状の素材ではなく、
もっと丈夫なものにすればいい。

日本の場合は、充填断熱+付加断熱
程度の断熱になるので、フィルムを
仕込むところが充填断熱の内側、
傷付けられやすい所にきがち。

海外や北海道の場合は、
内付加断熱+充填断熱+外付加断熱
みたいな仕様も珍しくない。

その場合は内付加断熱と充填断熱の
間に防湿部材を挟むことで、
簡単には傷つけられない外皮を
作ることができるようになります。

配線胴縁を施工するなどして、
壁下地のすぐ裏に防湿フィルムが
無い状態というのも、やはり
傷付けられにくい工夫になります。

配線胴縁越しの穴であれば、
将来的にも大きな穴にはなりにくい。

また、充填部分に繊維系の断熱材を
使うから防湿フィルムが必要になる。

充填部分にも繊維系ではなく、発泡系の
断熱材を使う事で、4地域以南の
寒冷地じゃない場所においては、
防湿フィルムを省略しても
壁体内結露はほぼ起きない。
(ちゃんと計算してもらってください)

日本ではどんどん普及している
高断熱住宅ではありますが、
そういう細かい部分を見てみると、
やはりUA値だけが世界基準に
追いついて、耐久性に関わる部分は
まだまだ怪しいみたいなところは
沢山あります。

零式艦上戦闘機の開発よろしく、
スペックはびっくりするほど高い。
だけどちょっとしたことですぐに
穴が開いて落ちてしまうみたいな、
防御力を無視した設計や開発を
しがちなのが日本人ですよね。

住宅の開発でも、というか
高価な住宅だからこそ、
スペックに現れない部分は
ええい、やってしまえ!
みたいな事になっているのは
ちょっと残念かなと思います。

でも、この点に関しては、
そこまで悲観しておりません。

今の日本で言う、質問にあったような
外皮構成の家であれば、
壊滅的な被害にはなりにくいので、
30年後40年後の世代交代、
オーナー交代の際には、
更に高断熱化をする目的で、
内付加断熱をしつつ、
破れてしまった気密シートを
補修しながら内装の大改修を
行えばいいかなと思ってます。

どうしようもない家だと、骨組みまで
ばらして構造、断熱を一から補強する。
しかし、構造、断熱までしっかり
やってあるのなら、内装+α程度の
補修で済みますから。

建物のライフサイクルコストに
置き換えて考えると、軽く
1,000万円以上は違うはず。

日本の住宅は高性能化が進みますが、
それでもまだまだ過渡期です。

UA値の低い建物は沢山出来てきた。
しかし、その性能をどのくらい
未来まで届けられるかという
点ではもっと改善の余地はある。

住宅は絶えず進歩をしております。
まずは、今現在において、これ以上は
ないと思えるものを作っておく。
というのが私たちに出来る事です。

つくり手も住まい手も、
ぜひ手を抜くことなく、
良い物を追い求めていただけたら。

参考にしていただければと。

#温熱は物理 #快適は設計でつくる #設備より建築

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この記事を書いた人

代表取締役 森亨介

森 亨介(こうすけ)

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国立岐阜工業高等専門学校建築学科卒業 建築環境工学を専攻する。
生涯コストが最も安くなる家を作る事を提唱し、普及に努めている。
凰建設株式会社代表取締役 一般社団法人ミライの住宅代表。
元パッシブハウスジャパン東海支部エリアリーダー