凰建設の森です。
本日は事務所での打合せ。
午前中は業者さんと。
お昼からはお客様と。
平日にお越しいただけるのが
非常にありがたいです。
さて、本日の話題は、
建てた家の未来について。
先日江戸東京たてもの園で
前川國男邸を見てきました。
戦前に建てられた、
住宅の名作になります。
こんな感じの家です。
↓ ↓
%url1%{https://www.ohtori.net/wp/wp-content/uploads/2023/04/t001001.jpg}
1942年に建てられ、30年後の
1973年後に解体(材料は保存)
そして20年後の1996年に、
江戸東京たてもの園に移築。
81年前の建物という事ですね。
まず、移築が出来るというのが、
大きな特徴かと思います。
今の住宅の様に、接着剤を
多用した家だと、移築はなかなか
思うようにはいかない。
部材を外すと接着剤が
汚く残ってしまうから。
移築が出来る=後の事も
考えてつくってある、
という事なんですね。
私の生まれた家も、
大正時代に長良川の上流から
材料を流して移築したものだと
聞いております。
30坪以下という制限の中で
最大限空間を豊かに使う
工夫が施された建物です。
部屋数は少なく、空間は大きく。
パッシブデザイン的に
非常に優れた形になっており
断熱気密の補強をすれば、
今でも十分に使える仕様。
耐震的には、、、
戦前の建物にそれを期待するのは
ちょっと酷な話かと思います。
女中さんのお部屋があるのが
時代を映しておりますね。
そして要所に設置された
ファンコンベクター。
断熱が無かったとしても
暖かい暮らしだったことが
伺える建物でした。
階段下の建具の高さは
1.7m程度と非常に低め。
あすなろ建築工房の関尾さんと、
「前川國男がこの高さで
いいって言ってるんだから、
俺たちも真似したって
いいんだよな!」
と納得してまいりました。
時間があればもっと
ゆっくり見たいと思わせる
まさに名作住宅と言えるもの。
恐らく、この家に住めるなら
住みたいという人は、
日本全国にいるかと思います。
しかし、あまりにも有名過ぎて
住宅ではなく美術品として、
今に残るようになっております。
これは建築を志す人の中でも
賛否の分かれるところですね。
建築物というのは、そもそも
実用の為に作られたものです。
本来であればずっと使い続け、
構成に遺して欲しいもの。
しかし、一定以上の知名度の
建築物は、そこに存在する事
自体に価値が生まれてきます。
エジプトのピラミッド、
ギリシアのパルテノン神殿、
ローマのコロッセオ、
日本の東大寺、法隆寺、白川郷
その建築物が実用を離れ、
文化財や美術品として、
価値を持つようになります。
それは観光資源になり、
その地域に富をもたらします。
それはそれで素晴らしい事。
一部の限られた人にしか
成し得ない事ではありますが。
同じように時を経た建物でも
こういう事例もあります。
↓ ↓
%url2%{https://www.forest.ac.jp/wp-content/uploads/2016/02/%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%B9-2.pdf}
100年の時を経て、
今の住居足り得る改修を施し
尚住み継ぐ人のいる家。
住宅として作られた建物が
住宅としてそのまま
使い続けられている。
新築時に設計施工をしたのは
今は誰も知らない名も無き人。
しかし、その手によって
生み出された建物は、
今でも人の暮らしの役に
立つものであり続けています。
どちらの建物も、新築時には、
永く使える建物であれ。
という願いを込められて
作られているかと思います。
美術品に昇華してほしいという
野望を抱いて設計するもよし、
永く使われて欲しいという
野望を抱いて設計するも、
また良しだと思います。
しかし、どちらを目指すにせよ、
大前提が一つあります。
永く残したいのであれば、
何より大事なのは耐久性と
維持管理性だという事です。
将来のリノベや移築が
できる建物であるのか。
メンテが嫌になるような
金額が掛かったりしないか。
私の設計する家が
美術品になってくれたら
等というおこがましい事は
考えたことはありませんが、
200年後もそこに誰かが
住んでいるという夢は、
いつも抱きながら設計をします。
大真面目に200年先まで
家を送り届けるために、
必要なリスクを避けて
設計をしていくと、
どうしても形はシンプルに
なり易くなっていきます。
前川國男邸もそうですね。
単純な東西の切妻です。
だから、デザインの前に、
最強の箱ともいえる、
耐震断熱耐久性が必要。
そこから如何にデザイン的にも
無駄を省いたものを作れるか。
チャレンジする気概だけは、
持ち続けていきたいですね。
あなたの建てる建物は、
遠い将来どんな形で
この世に居てほしいと
思いますでしょうか。
みんなが見に来る家?
みんなの役にたつ家?
仕方なくそこにある家?
出来れば解体したい家?
みんなの迷惑になる家?
今の時代の私たちの
行いは、大なり小なり
後世に影響を与えます。
建築物なんて、その中でも
かなりウエイトが大きい。
是非、建てる家の
将来を思い描きながら
家づくりをしていただければと。
よろしくお願いします。
